先日NHKクローズアップ現代で、「全国犯罪被害者の会」創設者の岡村勲弁護士が取り上げられました。
氏は自分の身代わりに妻を殺害されたことを契機に、日本の司法において犯罪被害者の権利がほとんど考慮されていないことに愕然としたと言います。そこで自ら先頭に立って、権利確立に奔走されました。被害者の司法参加などは、氏の功績と言っていいでしょう。
NHK クローズアップ現代 遺族の声が司法を変えた
妻刺殺…傍聴席で痛感した「被害者・遺族無視」老弁護士の司法改革 : J-CASTテレビウォッチ
番組でも強調されていましたが、氏が弁護士、しかも刑事裁判を専門にした弁護士だったからこそ、司法を動かすことができたという面は大きいでしょう。そしてやはり、自らが犯罪によってかけがえのない家族を喪ったということが、主張に迫力を与えたのもまぎれもない事実だと思います。
どこかのテレビ局(できればNHK)が、氏の足取りをドラマ化してくれませんかね。あとは、氏のお考えや行動を、ぜひ手記として読みたいものです。
今回体調などを理由に被害者の会会長職を退かれましたが、心から「お疲れさまでした」と言いたいですね。そして次の世代の人たちが、岡村さんの意を継いで犯罪被害者のための運動をさらに推し進めてくれることを期待します。岡村氏によれば、「補償制度の充実」など経済面のことが、次のテーマだそうです。
「家内のあだ討ちできた」被害者救済に尽力して11年 あすの会の岡村氏が引退 – MSN産経ニュース
12年、被害者の権利確立を掲げ、あすの会を設立。たった5人で始めた活動は徐々に全国へ広がった。海外で行った会の調査は、後の犯罪被害者等基本法の礎にもなった。
現在は法廷で遺族が直接、被告に質問する光景も珍しくなくなった。補償制度の充実など課題も多いが、岡村さんは「周りの助けがあったから、ここまで来られた」と振り返る。
しかし、一昨年に心筋梗塞(こうそく)で倒れるなど、体調不安にさいなまれてきたこともあり、公訴時効撤廃の実現を機に引退を決意した。
「被害者救済のためのいろんな制度ができてうれしいし、よかった。でも、やっぱり家内が生きていてくれた方がずっとよかった。遺族はみんな同じ気持ちです」。今後は一歩離れた立場で会を支えるという。
個人的には、これからの課題は「国」というよりは「社会」に関わるものが多く、今まで以上に息の長い取り組みが必要となる気がします。被害者の会は「あすの会」と名乗っています。明日というような短期間に事態が劇的に改善することはないでしょうが、少しずつでも前進する、そんな気構えで活動して行ってもらいたいものです。そして我々市民の側も、できるだけのサポートをしてあげたいものですね。明日どころか今日にだって、犯罪被害者になる危険はあるわけですから。