「安全・安心」とリスク

投稿者: | 2011-03-25

しばらく前は「自粛」と「不謹慎」が世を賑わせていましたが、放射性物質がらみのニュースが増えるにつれ、「安全」と「安心」が王座を奪還しました。

ここ10年15年の我が国では、「安全」と「安心」を重視する風潮が強まる一方のように感じます。それに疑義を差し挟むのが難しい、という点では「国教」のようになっている、と言えるかもしれません。

私はこれを、およそ非現実的だと冷めた目で見ています。

世の中に絶対の安全とか絶対の安心を求めることはできず、所詮「リスク」の程度問題だと考えているからです。もちろん、より安全とかより安心というのは、基本的に望ましいことでしょう。けれど、コストを度外視して安全・安心のみを追求したり、特定の安全・安心を追い求めるかたわらで別のリスクを招いたりするのは、決して賢明とは思えません。

安全・安心は主に食など消費材について言われることが多いです。けれど昨今では、日本人が生き方そのもの、人生全体に安全・安心を求めるようになっていないでしょうか。個人的には、日本が衰退あるいは縮こまっているように見えるのは、そうしたことも大きく与っているとにらんでいます。

だから、無邪気に「安全」と「安心」を求める風潮を見過ごせないんです。

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