「統制経済」、許すまじ

投稿者: | 2011-04-04

自由主義者の私ですが、非常時にはある程度の権力集中はやむを得ないと思います。

特に人命がかかっている場合には、一刻の遅れが命取りになる場合もあります。民主的に、とか、みんなの総意で、なんて言っていられる場合ではないでしょう。

ただここへ来て、民主党政権が統制経済・計画経済に傾斜しつつあるのではないか、という懸念が聞かれるようになってきました。

まずは「1940年体制」で、戦時中から続く日本の統制経済の実態を明らかにした野口悠紀雄氏。

統制経済の復活を許してはならない|野口悠紀雄 未曾有の大災害 日本はいかに対応すべきか|ダイヤモンド・オンライン

「総力をあげて」「官民一体となって」「国家存亡の危機を乗り切る」といった言葉が、いま日本の新聞に、ゾンビのごとく復活している。

これこそが40年体制の基本思想なのである。それは、1942年に制定され、1998年まで存続していた旧日銀法の第1条と第2条「日本銀行ハ国家経済総力ノ適切ナル発揮ヲ図ル為……」「日本銀行ハ専ラ国家目的ノ達成ヲ使命トシテ運営セラルベシ」に明瞭に示されている。被災地の救援や原発事故に対処するために、官民一体となり、総力を挙げて国難に当たるのは当然のことだ。しかし、それをその後の経済運営に延長しようというのは、危険な思想だ。

いま本当に必要なことは、価格メカニズムを働かせて、日本の産業構造を省電力型のものに変えてゆくことだ。しかし、統制割り当て経済が続けば、日本の産業構造は、これまでのまま継続する。そして、電力コストの上昇によって疲弊してゆくだろう。

いまわれわれが選択する方向は、日本経済の重大なターニングポイントを決める。

そして、ロンドン在住で自由主義的なスタンスでブログを書いておられるwasting time?さん。

東日本人民共和国が成立? やっぱりサヨクな民主党|ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ

・・・出るわ出るわの社会主義的政策のオンパレードである。他にもいろいろ見つけたのだが、これくらいにしておこう。しかし、最後の案は本当にびっくりである。東日本人民共和国の誕生に万歳!!

これらの政策が実現すればこの震災が日本衰退の一歩になったと歴史に記される日が現実になるかもしれない。

民主党政権が意図的に社会主義的方向を推し進めようとしているのかどうか。それははっきりわかりません。無意識的・無自覚的にいわば善意によって「良かれ」と思ってやろうとしていることだって考えられますからね。ただ、自覚があるかは大した問題ではなくて、現にその方向に進みそうな懸念があること、そしてそうなれば日本経済の活力を決定的に損ねる危険性があるということが問題なのです。

確かに今は非常時です。でも高齢化に対応した経済・社会システムをつくるとか、環境負荷の低い文明への転換を図るとかいったことは、依然として中長期的に重要な課題です。前回も書きましたが、今回の震災を、むしろそれらへの改革のバネとして活かすべきなのではないでしょうか。

最後に池田信夫氏のブログを引用します。我らが大きな岐路にある、という点では前の二者(そして私)と共通です。

池田信夫 blog : ポスト3・11の時代 – ライブドアブログ

就職が大変だといっているのはまだ幸福な時代で、あと5年もすれば深刻な人手不足の時代が来る。人的資源が成長を制約する時代に必要なのは、既存の労働者を保護する「やさしい政治」ではなく、人材の流動化と組織の再構築だ。供給力が低下すると、需要不足によるデフレは終わるだろうが、そこに待っているのはデフレより悪いスタグフレーションかもしれない。

9・11でアメリカは変わったといわれたが、「テロとの闘い」なんて幻想だった。それに比べれば、3・11は日本の歴史を変えるインパクトをもつかもしれない。成長から衰退の局面に入る日本が「第二の敗戦」からやり直すためには、今までより貧しくなる覚悟と多くのつらい選択が必要だろう。今の政治にその覚悟があるとは思えないが。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください