女優の「遺言」

投稿者: | 2011-04-29

先日ご紹介した、田中好子さんの「最後のメッセージ」、テレビで繰り返し放送されたこともあり、多くの人に強い感銘を与えたようです。

iei_tanaka余命わずかという状況、死の淵にあって周りを気遣うこころ、そして何より肉声そのものが、我々に強く訴えかけてきました。いろんな計算や思惑があったんでしょうが、彼女の存在をこれほど注目させ、そしてそのメッセージに耳を傾けさせたという点で、女優・田中好子にとって一世一代の「大仕事」だったろうな、と思います。

昨日、TBSで追悼番組でご主人の小達一雄さんが心境を語っていました。氏はご存知のように(といっても、私は今回初めて知りましたが)故・夏目雅子さんの兄です。妹に続き、妻にも先立たれたことになりますね。ちなみに田中好子さんの方も、弟を骨肉腫で若くして亡くしているとのこと。夫婦の絆には、こうした似た痛みを持った者同士の共感、というのもあったかもしれません。

さてメッセージの中で、田中さんは下記のように語っていました。

いつの日か、妹・夏目雅子のように、支えて下さった皆様に、社会に、
少しでも恩返しできるように復活したいと思っています。
かずさんよろしくね。その日までさようなら。

聞いたときには要領を得なかったのですが、昨日ご主人の話を聞き、何となくわかったような気がします。夏目雅子さんについては既に夏目雅子ひまわり基金というのがあるのですが、恐らく同様の基金なり財団を立ち上げて、社会貢献する、ということなのではないでしょうか。あるいは、ひまわり基金を発展的に拡大させるとか。

いずれにしろ、最後のメッセージを身内に託したことといい、遺る者に志をゆだねたことといい、まさに私が理想と考える遺言のあり方。言葉は悪いですが、ワクワクしています。今後小達氏からどんな発表があるか、楽しみに待ちたいと思います。

今回こうやってテレビでもネットでも物凄い反響を起こしたことで、しばらくはキャンディーズや田中好子さんをしのんだ企画、追悼特集のようなものが続くことでしょう。往年のブームが再燃なんてこともあり得なくはありません。折しも、6月にはベスト盤が発売されるとのこと。ファンやその他の人がいわば「追悼買い」をすれば、上記の基金か何かにとっても、プラスになることでしょう。

思えば昨年、二人の印象的な死がありました。一人はつかこうへいさん。もう一人はアニメーション映画の今敏監督。前者は遺言らしい遺言は遺さず、後者は異例とも言える克明なメッセージを遺していました。クリエイターとして、どちらが正しいということはないでしょう。病状、年齢、家族関係、そして本人の価値観によって、何が善いかはまちまちでしょうから。ただ個人的には、何らかの言葉や作品を遺してくれる人が増えた方が、うれしいですね。そして、それに倣う一般人が増えてくれることを期待します。どんなものであれ、言葉をかけてもらえることは、遺された者にとっては貴重ですから。

関連記事(上記のつかさんと今敏さんの話題で書いたものです):
有名人の遺書 | 志の輪、広げよう。(2010-09-08)

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