震災から2ヶ月近くが経ち、「復興」という言葉を多く聞くようになってきました。
政府には「東日本大震災復興構想会議」が発足。すでに会合を重ねています。6月末に第一提言を出し、それを受けて次の臨時国会で第2次補正予算を通す運びなのだとか。メンバーの人選といい、スケジュールの「のろさ」といい、既にがっかりさせられるような流れです。出てくる提言も、あまり期待できませんね。
中でも問題になっているのが、復興に充てる財源の話です。社会の会合でいきなり議長である五百旗頭(いおきべ)真氏が増税をぶち上げたことが、大きな反響、もっと言えば反発を呼びました。復興構想全体からすれば、必ずしも一番重要な論点ではありませんが、「増税するのか、しないのか」「もし増税するなら、どの税を増税するのか」といった点は、大きな議論になりそうです(構想会議の中ではともかく、メディアやネットなど国民の間では)。
日本は、かねてから財政の持続可能性があやうくなっています。復興に名を借りて増税を通してしまえ、というのは確かに姑息かもしれません。だからといって、いかなる増税も認めないとか、まして国債を日銀が引き受ければいい、というのはさすがに無責任な議論なのではないでしょうか。
当座は臨時的な国債(復興特別債?)でしのぐとしても、やはり増税は避けられないかと思います。もちろん、歳出の見直しによる財源調達は大前提ですが。その上で、財政再建や社会保障改革と整合的な形で、増税と増収も図っていく、というのが王道であり、これしか採るべき道はないと考えます。
この中で上野氏は、国債が日本国内で安定的に消化できる「猶予期間」の終わりが近づいていること、そしてそれゆえに、日銀が国債を直接引き受けるのは「論外」だとしています。同感です。震災後、「日本は変わらねばならない」といったセンチメンタルな掛け声を多く聞きました。ただ経済や財政のことを思うと、お尻に火が点いた状態と言って良いのではないでしょうか。