先日、財務省から俗に「国の借金」と言われる「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」が発表されました。
それによると、今年の3月末時点での「国債」「借入金」「政府保証債務」の合計額は、924兆円あまり。一年前より41兆円増えています。何ら誇るべきことではありませんが、1,000兆円突破が視野に入って来た、という感じです。
ネット上の掲示板などを見てみたのですが、意外とこのニュースに冷ややかな人が多いことに驚きました。日本人の金融資産でファイナンスできているんだから問題ない、とか、いざとなればお札を刷りまくることで解消できる、と考えている人が多いようです。もちろん、私と同じように危機感を示す人も一定数はいましたが。
この問題を考えるとき、我が国において少子高齢化が進行中だということを忘れてはならないと思います。具体的には、以下のようになることが必定です。
- 高齢者が増大するため、社会保障費は自然に増える
- 人口が減ることによって、経済成長に制約ができる
- 後の世代ほど人口が少ないので、財政の負担がより重くのしかかる
そして、こうした見通しが先行き不安や悲観論につながり、それがさらに事態を悪化させる可能性があります。今の日本において、事態を直視しない人が過半数を占めるために、結果的に破局が遠ざけられているとしたら、皮肉なことですが。
さて、このまま事態が悪化の一途をたどったら、どうなるのでしょうか。私は最近「破綻」とか「破局」という言葉を使うようになりましたが、それがどんなものか、想像してみようと思います。「起こり得るシナリオ」というわけです。
- 日本円が暴落する
- 資本が海外に流出する
- 輸入品(とりわけエネルギー、食料)が暴騰する
- 生活水準が大幅に低下する
- 行政サービス・社会保障が軒並み切り捨てられる
- 預貯金など金融資産が紙切れ同然となる
- 自殺が増える
- 治安が悪化する
- 日本の国際的地位が低下する
- 外国資本に不動産や日本企業を安く買われる
悪い部分だけを集中的に挙げてみました。場合によっては江戸時代みたいに、貧しいけれど文化的にはそれなりに実りの多い時代を築くことができるかもしれません。でもやはり、上に書いたように「年寄りだらけの世の中」です。日本列島自体がアジアの「過疎地」、「限界集落」みたいになるおそれも、多分にあるでしょう。
いたずらな悲観論は良くないでしょう。けれど、現に起こりそうなことに目を向け、できるだけそれを回避しようと努めることこそが、将来の世代に対する我々の責務ではないでしょうか。
以下の記事を参考にしました。是非ご一読を。
シミュレーション 20XX年ニッポン「財政破綻」( 橘玲 公式サイト)