今の日本は、原発をめぐって、福島第一原発の事故をめぐって、そして放射性物質をめぐって、「安全厨」と「危険厨」がせめぎ合っている状況かと思います。
安全厨はこれらに対して楽観的、危険厨はこれらに対して悲観的な人のことです。中には微妙なスタンスの人もいるでしょうが、多くの人はどちらかに分かれることでしょう。私は、まぎれもなく安全厨です。原発事故に関しては、ここのところ危険厨が「言ったとおりじゃないか」と言いたくなるような状況にあり、あるいは情報が明らかになり、「逆風」のようなものを感じています。
ただ私の見るところ、危険厨の大半は「かくあるべし」「かくあれかし」といった思い込みのようなものが強すぎ、物事を冷静かつ客観的に見ようとしない傾向があるように思われます。くだらないデマに引っかかったり、違う認識を持つ者を口汚く罵ったりするのは、そのせいじゃないでしょうか(「御用学者」という決めつけも、ひどいものです)。
そんな危険厨に、私が何を言ってもその声は届かないでしょう。ただ以下の点だけは、どうしても黙っていられないので、あえて書いておきます。逆風が吹いているからといって口をつぐむのは、非良心的だと考えますので。
放射線の危険性
危険厨は当然ながら、放射線の危険性について過度に敏感です。私に言わせれば、誇張しがちです。問題は、科学的な知見などお構いなしで、子どもが「バイキン」を恐れるかのように非合理な恐れを抱いていることです。原発についての政治的立場上、放射線が危険であればあるほど自説には都合が良い、というわけです。
私も震災以来、放射線について少し勉強してみました。そんな私から見ると、さすがに放射線についてのイロハに属する以下のような知識に反する言説や情報は、キワモノと言わざるをえません。もしこれまでの「常識」が間違っているというなら、その証拠を出してもらわないと。
- 放射線被曝による影響には、確定的影響と確率的影響がある
- 発がんリスクが高まることが実証されているのは、100ミリシーベルトから
- 確率的影響はあくまで「発がんリスクの上昇」なので、タバコなど他の生活習慣によるものと同列
- 100ミリシーベルト未満については、影響がないという説、被曝量に比例して影響があるという説、さらには低線量の被曝はむしろ健康に良いという説すらある
さすがに低線量の被曝が体に良いというのは「仮説」と言わざるをえませんが、放射線のことを心配しすぎて心身の調子を崩す方が、放射線そのものよりずっと健康に悪影響ということは言えると思います。標語として言われるように、放射線は「正しく恐れる」ことが大事です。
その意味で、放射線についての基本的知識を欠いたまま、あるいは知っていながら、むやみに危険性を吹聴するのは、一種の「健康テロ」だと言って過言ではないのではないでしょうか。
おすすめリンク
私の文だけでは信用されない方もいると思いますので、ネットでアクセスできる情報へのリンクを張っておきます。
緊急出版!「もっとわかる放射能・放射線」を電子書籍で(北海道大学科学技術コミュニケーション教育研究部門)
基礎知識を学ぶことができます。一番のおすすめです。
普段から自然に浴びている放射線の量を一目で比べられる巨大なインフォグラフィクス(翻訳済:2011/05/02改訂) – DNA
マイクロシーベルト(μSV)、ミリシーベルト(㎜SV)、シーベルト(SV)の関係が直感的に把握できます。
以下は、公的機関・学術機関の情報。
「放射線の発がん影響について」(PDF)(国立がん研究センター)
福島原子力発電所の事故に伴う放射線の人体影響に関する質問と解説 (Q&A)(日本放射線影響学会)
以下は、新聞社等のサイトから。
[放射線 健康にどんな影響]全身に浴びると…100ミリ・シーベルトでがん危険性0.5%増 : 医療ニュース : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞)
【放射能漏れ】年間100ミリシーベルト被曝の発がんリスク 受動喫煙・野菜不足と同程度 – MSN産経ニュース
チェルノブイリの健康被害、最も深刻なのは精神面への影響:日経メディカル オンライン
次回は、原発に関わる危険厨への反論をまとめてみたいと思います。
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