幸福のものさし

投稿者: | 2011-06-13

政府や各地の自治体に、幸福度指標を作ろうとする動きがあります。

先日のNHK「クローズアップ現代」がそのことを取り上げており、なかなか興味深いものでした。

幸せのモノサシ ~指標づくりの模索~

幸せ…とらえどころのない、人類の永遠のテーマ。この幸せというのは、どうやって測るのか?…今、世界各国で、国民の“幸福度”を測る新しい指標づくりが進んでいる。背景にあるのは、これまで社会の豊かさを測る基準とされてきたGDPなど経済指標の行き詰まり。所得上昇と幸せが結びつかない(幸福の逆説)、地球環境などの持続可能性がない(成長の限界)などが明らかになり、社会の進歩を何で測っていくのかが改めて問われているのだ。

日本でも内閣府が、経済学者・社会学者・心理学者の意見を集約し、幸福度指標の原案を示す計画だ。

一方、自治体や企業の中には、経済成長や所得上昇など金銭の豊かさでない、新たな幸福論を掲げて既存のあり方を見直そうとするところも出てきている。何故今、幸せを測る必要があるのか?一体、これからの日本の「幸せ」とはどんなものなのか?これから私たちがめざす社会のあり方・人々の生き方を、指標という側面から考える。

よく言われるように、経済的指標であるGDPが伸びても(そもそも、最近の日本は大して伸びていませんが)、必ずしも幸福感に結びつかない、という苦い認識が、こうした動きのきっかけとなっています。GNH(国民総幸福量)追求を掲げているブータンが引き合いに出されるのも、もはや「お約束」の域です。

こうした趣旨にはおおむね賛同なのですが、やはり「幸福」というもののとらえどころのなさは、注意すべき点だと思います。またそれゆえに、反動として「経済的豊かさなんて、どうでもいい」といった反対側の極論に走りがちなのも、いただけませんね。

政府や自治体など「官」がこうした指標を作るのであれば、国民満足度・住民満足度といった風に焦点を絞った方が良いのではないかと思います。継続してモニターすれば、何が問題なのか、対処すべき課題は何か、といったことをいち早くとらえることもできることでしょう。

番組では、日本人は他国の人より、他者とのつながりが幸福感を左右する面が大きい、といった話が出ていました。さもありなん、ですね。多くの日本人は、人生において何事かを成し遂げるより、周囲の人と仲良く楽しく暮らすことや、他人様のお役に立つことの方を「幸せ」と感じることと思います。

その意味で、欧米から幸福な生活や社会のモデルみたいなものを輸入したとしても、必ずしも日本人にはしっくり来ないことの方が多いのではないでしょうか。

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