ネット時代、デジタル時代に、どうやって稼ぐか

投稿者: | 2011-08-15

井上陽水と松任谷由実の対談が、話題になっています。

第36回 最終回 井上陽水さん : yumiyoriな話 : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

M(松任谷) だから、手に入れる手間暇を考えると、100万の重みがより増します。そして、この配信の時代。

I(井上) もう、誰も音楽にお金なんか払わないですよ。連想するのはね、ブラジルで、欧米で作ったエイズの薬を使うには特許料を払わなきゃいけないんだけど、ブラジル政府は「目の前の貧しい人を助けるほうが先でしょう」と、特許を認めなかった話ね。確かに著作権なんて、西洋のある種の文化ですよね。絶対というわけでもない。

M 音楽にお金を払うこと自体が間違ってたのかもしれない。19世紀の頭頃に出版社ができ、楽譜というものを売り始めてね。

I もちろん、ある種の発展というのはあったんでしょうけど、「発展ってどうなの?」っていう時代に来てますからね。

「そんなこと言っちゃっていいのかよ」と思いますが、期せずして二人とも、お金を払って音楽のコピーを買う、というのはこの先長くない、と見通しておられるようです。

デジタル化されたコンテンツは、複製・流通のコストがタダ同然になります。コピーに対して大きな対価を要求するのはもはや難しいでしょう。レコードやCDの時代のように、抱き合わせの曲込みで1,000円とか、1,200円とか。

またデジタルの時代は、素人の創作のハードルを下げます。一部のプロやスーパースターが「創る人」「売る人」で、その他大勢は「鑑賞する人」「買う人」という分化も、しだいに薄れていきます。

音楽に限らず著作物なんかもそうですが、ネット時代、デジタル時代には、前払いで結構な料金を徴収する、というビジネスモデル自体が、ほとんど成り立たなくなると思われます。前払いではなく後払いで、鑑賞ではなく利用に対して対価を求める、という風になっていくのではないでしょうか。

よく「コピーはタダかそれに近い値段でばらまいて、ライブやグッズで稼ぐ」という方向性が提案されます。それも一つのあり方でしょう。ただビジネスモデル(ひいては、何にどういうやり方で価格を付けるか)自体が多様化するということも、これからの時代の大きな特徴となるでしょう。

この手の議論になると、どうしても著作権者(さらには著作権管理団体)対消費者、という対立構造が浮かび上がってしまいます。でも長期的にみんながハッピーになるような方向性を見いだすことは、決して不可能ではないはずです。

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