増税を要求するお金持ち

投稿者: | 2011-08-25

アメリカとフランスで、大金持ちの人が「自分たちに増税してくれ」とアピールして、話題になっています。

バフェット増税発言の波紋(NY特急便) :日本経済新聞

著名投資家のウォーレン・バフェット氏が「私や友人は億万長者に優しい議会に甘やされてきた」とし、増税を訴えたのが15日のこと。それから1週間余りを経て、様々な波紋が広がっている。

米国内では、同氏の増税論に反論が噴出。例えばアメリカン・エキスプレスの元経営トップは「既に毎年2兆ドル強集めている税金をまず賢く使うべきだ」と主張した。一部はバフェット氏を偽善者扱いする論調もあり、連邦政府への寄付制度があるのだから、まずそうすべきだといった議論も出ている。

一方で明確な賛同者が出たのは米国よりも、大西洋を渡ったフランスからだった。23日に化粧品大手ロレアルの創業一族のベタンクール氏ら仏産業界の16人が連名で、富裕層への一時課税を自ら提案。自国の財政赤字の削減へ、貢献する意思を表明した。

国の財政が危機的状況になるから、自分たちも何か貢献したい、という気持ちは見上げたものです。ただそれなら、自主的に国庫へ寄付すれば良い。「増税してくれ」と自ら求めるというのは、あまりに異様ですし、今のところ同じ富裕層から幅広い賛同を得ているとも思えません。

そもそも私は(自分が富裕層というわけじゃありませんが)、収入や資産の多い人ほど税率が上がるという累進課税自体、正当化しづらいと思っています。もっと言えば、税金は少なければ少ないほど良い、とも。そんな信念を持っている身から見ると、「増税してくれ」などと口走るのは、狂気の沙汰と思えてなりません。あるいは偽善ぶりに虫酸が走るというか。

ただし上記記事にもあるように、アメリカに関してはキャピタルゲインが税制上優遇されているようです。それを是正する、という点については、私も異議はありません。また日本については、税収と政府支出があまりにアンバランスですので、何らかの増税が必要なのは論を待ちません。それは付け加えておきます。

それにしても、本件を伝え聞いて日本のネット上でも手放しで賛美する声が多いのには、驚き、恐怖さえ感じました。「相続税を100%にしろ」とか「財政が苦しいのなら、金持ちから税金をしこたま取れば良い」といった意見も、よく目にします。私有財産を尊重する機運みたいなものが希薄になりつつあるようなのが、気がかりです。

フランスの富裕層は、もしかしたらそうした「金持ち批判」に先手を打つ形で、一時課税を提案したのかもしれませんね。だとしたら、「お主も悪よのぅ」と言ってやりたいですね(笑)。

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