生活保護という重荷

投稿者: | 2011-09-20

先週放送されたNHKスペシャル「生活保護 3兆円の衝撃」を観ました。

NHKスペシャル|生活保護 3兆円の衝撃

凄まじい勢いで増え続ける生活保護受給者。今年4月末の受給者は、全国で202万人を突破。世帯数で見ると146万世帯を超え、終戦直後の混乱期を上回り過去最多となった。給付額は3兆4千億円に達しようとしている。急増の背景には、リーマンショックを受け、2010年春に厚生労働省が65歳以下の現役世代への生活保護支給を認めるよう全国の自治体に促したことがある。

全国一受給者が多い大阪市では、市民の18人に1人が生活保護を受け、今年度計上された生活保護費は2916億円、一般会計の17%近くを占めている。危機感を抱く大阪市は「生活保護行政特別調査プロジェクトチーム」を設置、徹底的な不正受給防止にあたると共に、受給者の就労支援に乗り出している。しかし巨額の生活保護マネーに群がる貧困ビジネスは悪質化、肥大化し、摘発は進まない。また、就労意欲の低い受給者に職業訓練や就職活動を促す有効な手立てがない中で、不況下の再就職は困難を極めている。

番組の中では「生活保護は、最後のセーフティーネット」という言葉が何度も出てきました。真に生活が困窮している人(高齢者や片親世帯)や、障害などで十分に稼ぐことのできない人にとっては、確かに命綱のようなものでしょう。ただ、中には年齢的にも体力的にも働けるのに、生活保護に依存してしまう人がいる、そのことが問題です。ましてや、制度を悪用した「貧困ビジネス」なんてのが出てくると、納税者は税金によってこの制度を維持するのが、アホらしくなってしまいます。

まず大前提として、生活保護制度の運用がどうという以前に、社会に就労の機会、あるいは自分でビジネスを始める開業の機会が豊富にあることが、何よりも大切です。働き口や稼ぐ手段が絶対的に不足しているようでは、個々人を叱咤してもあまり意味はありませんから。

そして番組では話題になりませんでしたが、個人向けのマイクロファイナンスや各種の保険が発達することも、生活が行き詰まるのを生活保護の手前で食い止めるために、ぜひとも必要です。

番組の中では、リーマンショックが生活保護急増の契機として語られていました。でも同時に、その前後から雇用に関する規制が強化されたり、個人が借金しにくくなったりと、いわば逆噴射の政策が採られてきたことも事実です。今一度、その効果について検証するべきではないでしょうか。

自由主義者の自分としては、民間のNPOやソーシャルビジネスなどが、こうした問題にもっともっと対処するようになることが理想です。「生活保護受給者を減らす」というのは、分かりやすく、しかも目指すに値する社会的目標だと思うんです。

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