今年の漢字は「絆」

投稿者: | 2011-12-27

やや時流に後れたネタですが、日本漢字能力検定協会が発表する「今年の漢字」、2011年は「絆」が選ばれました。

「今年の漢字」 財団法人 日本漢字能力検定協会

「絆(ハン・バン/きずな・ほだす)」が表す2011年とは・・・

日本国内では、東日本大震災や台風による大雨被害、海外では、ニュージーランド地震、タイ洪水などが発生。大規模な災害の経験から家族や仲間など身近でかけがえのない人との「絆」をあらためて知る。

人と人との小さなつながりは、地域や社会などのコミュニティだけでなく、国境を越えた地球規模の人間同士の「絆」へ。

SNSをはじめとするソーシャルメディアを通じて新たな人との「絆」が生まれ、旧知の人との「絆」が深まった。また、国際社会ではいくつもの民主化運動が起こった。

一方、ワールドカップで優勝した、なでしこジャパンのチームの「絆」には日本中が感動し勇気づけられた。

日本にとっては、東日本大震災と原発事故を抜きには語れない一年。それを端的に表す言葉(たとえば「震」「災」「波」)が選ばれても不思議ではないですが、やはり希望や救いを求める人が多かった、ということなのでしょう。ちなみに「トップ20」を見ると、「災」が2位、「震」が3位、「波」が4位。これらの得票を全部足すと、「絆」を超えます。

そもそも一年の世相を漢字一文字で表す、というのは無理というか限界があります。「今年の漢字」という企画そのものへの批判、「絆」が選ばれたことへの批判・違和感はあろうかと思いますが、それは言わばいわずもがな。「絆」という字はもちろん、トップ20や過去の「今年の漢字」を参照しつつ、話のネタ、思考のネタ、そしてこんな風にブログのネタにすれば上等じゃないでしょうか。良くも悪くも、「流行語大賞」とこの「今年の漢字」は、一年の風物詩としてすっかり定着していますので。

なお、発表がいつも清水寺で行われるので誤解している人がいるかもしれませんが、この「今年の漢字」を清水寺のお坊さんが決めているわけじゃないですよ(笑)。

さて当の「絆」。一部の知識人はいわば絆連呼の世相に反発しているようですが、絆の大切さそのものは認めるべきだろうと私は思います。ただ問題は、人々が強めたいと思う絆がまちまちで、そこに今の日本の「絆」の難しさがある、ということです。家族については多くの人がイエスでしょうが、友人、職場の仲間、近所の人となると、どうでしょうか?必ずしもベタベタした付き合いを望まない、という人も多いのではないでしょうか。

2012年は、どんな絆を我々は望むのか、そしてその絆を強めるためにどんなことをするのか。こうしたことについて、さらに地に足の着いた対話が社会のあちこちで交わされると良いですね。私は「絆」に反発する知識人とは逆に、日本社会にある断絶・無理解・冷たさの方が、死に至る病だと思っていますので。

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