EUでの債務危機の問題、なかなか収まりそうにありませんね。
ギリシャについてはすでに「ユーロ離脱」が公然と語られるようになっていますし、イタリア、スペイン、ポルトガルなどもいつ行き詰まってもおかしくない状況です。EUの債務危機が欧米の銀行危機を招き、それがさらに景気後退と政府税収の減少を招く、という悪循環が起こる危険性はかなりあると思います。EU発の世界恐慌(「大恐慌」まで行くかどうかは、わかりませんが)というシナリオですね。
もともとユーロについては、金融政策は一体化しているのに、財政政策は各国バラバラという根本的な矛盾がありました。今回の危機発生以降、独仏などが無数に会合を重ね、何とかユーロを守ろうとしていますが、所詮対症療法の域を出るものではないですよね。
それにしても痛感するのは、EUだのユーロだので統合が図られたと言っても、各国の国民の間に一体感のようなものはさほど芽生えていないんだな、ということです。自分たちの税金で他国の放漫な財政を救済する、ということに納得できない市民が多いようです。当然の心理でしょうね。
ユーロ自体は、早晩、財政まで含めた一体化に進むか、あるいは付いていけない国を切り捨てる解体に退くか、どちらかを選ばざるをえないでしょう。前者の道は国民感情からして険しそうだ、というのが私の印象です。
さて翻って日本でも、地域間、世代間での「再分配」が行われています。でも地域間、世代間に一体感が薄れてくれば、さらに再分配を強めることはおろか、現状を維持することにも国民の不満が出てくるのではないでしょうか。ましてや「東アジア共同体」的なものは、100年早い、とまでは言いませんけど、この20~30年の間に実現するようなものではありませんよね。