TRON構想で有名な坂村健氏が、興味深い論考を書かれています。
時代の風:プライバシー意識の変化=東京大教授・坂村健 – 毎日jp(毎日新聞)
以前このコラムで「ネット時代のプライバシーの意味は『他人に知られない』ことより『自分の情報がどう流れているかを各自が把握し管理できる』ことの方に重点が移っている。プライバシーの外部化、さらにはネット化も気にならない時代」が来る、と書いたがまさにそれが現実になりつつある。
その意味では、「出さない」ことに固執する個人情報保護は古い。人々が自らの意思でサービスと引き換えにプライバシーを晒す時代。その時代の新しいプライバシー管理が今求められているのだ。
個人情報をWebサービス業者など民間営利企業にさらすことによって、大きな利便性を享受できる。そんな時代には、出さないことに固執するプライバシー観念は古い、と言いきっていますね。
二年以上前に、同趣旨のブログ記事を書きました。
私としても、坂村氏の認識に同感です。問題は、個々人は利便性やメリットを最小化する一方で、社会としては悪用しずらいシステム、あるいは悪用してもすぐバレるシステムを作ることにあるのでしょう。
なお上記は対企業という視点でしたが、ソーシャルメディアなどを通じて他人に対して自分をさらけだすことも、これから大きな社会的関心事となっていくでしょう。ソーシャルメディアの浸透で個人のプライバシーがますますさらされるようになるのは大前提として、下記のようなことが問われるようになってくるのではないでしょうか。
- 自己開示を、いかに人脈拡大や交友の深化につなげるか
- あえて開示しないものは、何か
- 人に「見られて」困るような悪事は、そもそもしない(逆にできるだけ善行をする)
いずれにしろ、「個人情報保護」なんてことをお題目のように唱えているだけでは、これからの時代、思考停止以外の何ものでもありません。