空襲の体験、戦争の体験

投稿者: | 2012-03-16

先週、ちょうど大空襲から67年目の夜にNHK「特報首都圏」で東京大空襲が取り上げられました。

3月 9日(金) 「東京大空襲 ~遺族たちの叫び~」

10万人以上の市民の尊い命が犠牲となった「東京大空襲」。 3月10日に、墨田区や江東区などの下町一帯を焼き尽くす爆撃は、知られているが、実際は原宿や銀座など東京の各地が終戦までの半年にわたって繰り返し爆撃を受け、市街地のほとんどを消失させていたことが遺族の証言などから浮かび上がってきた。黙殺されてきた空襲被害者の声。 67年という月日が経った今、遺族たちは「語り残さなければ、東京大空襲の真実は闇に葬られてしまう」と、重い口を開き、真実を語り始めている。今、その東京大空襲の全貌に迫った。

娘や孫など家族に始め空襲のことを語った女性、小学校を訪れて空襲の体験を生徒に語りかける女性などが、紹介されていました。当時子供だった方々ですので、もう70代、80代です。そんな方々が、戦後70年近く経ってやっと「口を開き始めた」ということに衝撃を覚えました。

体験があまりに痛切だったために、家族などにも話せない、話したくなかったのかもしれません。同時に、戦後の日本社会が戦時中のことからややもすると目を背けていたことも、ある面で事実かと思います。体験者が口を開きにくい「空気」のようなものが、日本社会全体にあったのではないでしょうか。

そうした中、戦争中に見聞きしたことを腹にしまったまま亡くなっていった元軍人、一般市民の方々が無数にいたことでしょう。自分も祖父母の世代は戦争体験者ですが、せがんでまで話を聞いておかなかったことを、今は後悔しています。4人の祖父母のうち、母方の祖母以外はみんな亡くなってしまいましたので。

「話したくない」ということなら、もとより無理強いすることはできません。ただこの番組に出てきたように、「生きているうちに」というお気持ちがある方には、音声・映像であれ文章であれ、形ある証言を残していただきたいと思います。我々戦後世代が又聞きしたのでは、次の世代に伝えるにしても限界がありますので。戦争体験者を直接に知らない世代になれば、なおさらでしょう。

縁起の悪いことを言うようですが、残り時間は、もう少なくなってきていますよ。

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