百科事典の代名詞ともいうべき存在だった「ブリタニカ」が、紙の百科事典の刊行を終える、と発表しました。
240年以上の歴史を誇る、英語の百科事典「ブリタニカ百科事典」は、インターネット検索の普及によって販売が落ち込んでいることから、書籍版の出版に幕が下りることになり、今後は電子版のみになります。
これは、ブリタニカ百科事典の編さんを手がけているアメリカの出版社が、13日、明らかにしたものです。
初めは1768年にイギリスで出版されたブリタニカ百科事典は、英語の百科事典の代表格として、多くの国で親しまれ、2010年に改訂された最新版は、全32巻で4400万語以上が収録されています。
よく言われるように、電子版の百科事典の登場で苦境に陥り、無料のウェブ百科事典「Wikipedia」によってとどめを刺された、といったところでしょう。多少時期の早い遅いはあっても、終焉は時間の問題でした。
電子の事典・辞典は、紙のそれに比べて、
- 場所を取らない
- 検索しやすい
- 安価
- 改訂が容易
- マルチメディア(笑)対応できる
といった圧倒的な優位性があります。紙の事典・辞典が勝るのは、部屋のインテリアになることと、近隣の無関係な項目をついつい見てしまうことくらいでしょうか。紙は負けるべくして負けた、と私は考えます。
ただ、電子の事典・辞典にもまだ改良の余地は大いにあるはずです。今後は電子の事典・辞典どうしで切磋琢磨して、もっともっと便利な存在に成長してほしいものです。私としては、どこでもどの端末からも利用できること、ユーザーがメタ情報を付加できて使えば使うほど便利になって行くこと、などを期待したいですね。
さて、紙の百科事典はこうして終わりました。紙の地図も、もはや絶滅寸前と言っていいでしょう。あとは紙の書籍。こちらは電子の方で「生態系」がまだ確立されていませんし、何よりユーザーの慣れの問題もあります。終焉を迎えるまでには、もう少し時間が掛かるでしょうね。といってもこの場合、紙の書籍がなくなるわけではなく、発行される書籍の8割、9割といった大多数が電子の書籍になる、といった不完全な「移行」でしょうけど。
それでも私は、生きているうちに「紙の書籍の終わり」を見届けることができるものと、強く確信しています。