貧困に立ち向かうには

投稿者: | 2012-03-21

昨日書いた平成ニッポンの貧困の続きです。

非正規雇用が社会の中で大きな比重を占めるようになって来ているのに、いまだに「非正規の正規化」が解決法だと思っている人が少なくないことが、何より問題でしょう。いまだに「非正規」などと呼んでいることもその証左です。

非正規雇用の人の割合はまだまだ増えるであろうこと、年金などの社会保障がこの先ますます財政の制約を厳しく受けざるをえないことを考えると、この先日本の貧困問題はさらに深刻化すると考えられます。悲惨な老い方・死に方をする人が続出したり、局地的に治安が悪化する、ということも起こり得ます。早急に様々な角度から対策を講じないと、取り返しが付かなくなってしまうのではないでしょうか。

この問題にはこれからも継続して着目していきたいと思いますが、以下は現時点での私なりのポイント整理です。

「非正規」を標準にする
多くの人が考える「非正規を正規に」とは、逆の方向です。有期雇用契約をむしろ標準にする。そして仕事の種類によって、時給制、月給制、年俸制を使い分ければ良いでしょう。もちろん契約の期間も、数時間・数日というものから月単位、年単位まで。プロ野球じゃないですが、10年を超えるような「大型契約・長期契約」も、もちろんアリでしょうね。これに関連して、退職金という賃金後払いの仕組みを税制で優遇することはできるだけ早くやめるべきと考えます。

解雇しやすくする
次の最低賃金の件と並び、一部の人たちからは反発を受けるでしょう。でも雇う側の立場に立てば、今までより人を雇うハードルが下がるわけですから、結果的に雇用の数を増やすのは間違いないでしょう。

最低賃金を撤廃する
上記で説明したとおりです。

生活コストを下げる
食と衣についてはグローバル化やデフレのおかげ(?)でかなり下がってきました。あとは公共料金と住居費、そして地方であればクルマの維持費でしょうか。最近はこれに携帯電話を中心とするインターネット接続費用も加えなければなりません。こうしたものがもう少し低コストになれば、給与収入の割にはそこそこ暮らしていけるようになるのではないでしょうか。そして何より、税や社会保険料といった政府が強制的に徴収するお金も、できるだけ少ない方が良いに決まっています。

他に個々の企業には、労働者を最初に雇う際は低賃金でも、その人のスキルアップや経験の蓄積に応じて職務内容と給与のそれぞれで報いることを求めたいですね。そうした点での制度設計と運用がうまく回る企業こそ、これからのサービス経済で強さを発揮し続けるでしょうから。

また、NPOやソーシャルビジネスにも、雇用の受け皿としての期待は大きいです。とりわけ中高年雇用に関して。

非正規の人の問題というと、社会のお荷物のようにとらえられがちです。でも彼らもビジネスの場で戦力としておのおの能力を発揮し、また消費者、ユーザーとしても一定の存在感を持つ。そうでないと、日本の経済は持続力をどんどん無くしていくでしょうし、少子高齢化にも歯止めが掛からないでしょう。その意味で、これは現在正規雇用の座にある人にとっても、決して他人事の問題ではありません。

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