インフラという「重荷」

投稿者: | 2012-04-24

少し前のことになりますが、NHKスペシャルでインフラの問題が取り上げられました。

NHKスペシャル|シリーズ日本新生橋が道路が壊れていく・・・ インフラ危機を乗り越えろ

ガス管や水道管の破裂、橋の亀裂、公民館や学校の老朽化…ここ数年、全国で「インフラ崩壊」の危機が顕在化し、生活に直結する事故が相次いでいる。

「国土の均衡ある発展」をスローガンに、高度成長期に多くが整備されたインフラ。40年~50年の耐用年数を経て、いま、一斉に老朽化が進んでいるのだ。インフラ全ての維持・更新に必要な費用は、今後40年間で実に600兆円にも達すると試算されている。しかし、これまで国も自治体も有効な対策を講じず、問題を先送りにしてきた。

今のところメディアでこうした話題が取り上げられることは、あまり多くありません。でもこれは今後日本にとって「大問題」となってくることは確実です。国家財政が破綻するなりそれに近い状況となれば、なおさら深刻度は増すことでしょう。

一言で言えば、これからの日本は新しいインフラを造る場合はよほど厳選せざるを得ず、また既存のものについてもかなり厳しい絞り込みを行わないと、維持・更新がままならない、ということになるんだと思います。生活が多少不便になるくらいならましなほうで、災害時に犠牲者が増したり、インフラの老朽化による事故で人命が失われることも、ある程度覚悟しなくてはならないでしょう。

その意味では、いまだに「景気対策」と称して費用対効果の怪しい公共事業をやろうとする人には、憎悪の念すら覚えます。人口(特にいわゆる生産年齢人口)が減ること、それに伴い経済が成長しづらくなることの意味を、こうした人たちにはもう少し考えてもらいたいものです。

さて番組では、財政の状態を率直に開示し、それをベースに住民と積極的に対話している自治体が紹介されていました。住民にも「何を取り、何を捨てるか」、一緒に考えてもらおうというわけです。あれもこれも、というのは無理なんですよ、ということを理解してもらうために。インフラのことはある面では危機ですが、住民・市民がまちのことや暮らしのことを真剣に考えるきっかけになるという意味では、チャンスなのかもしれません。

最後に、番組担当記者のコメントを引いておきます。

成長・拡大をひたすら追い求めてきた時代から、持続可能性に重きを置いた「身の丈」を追求すべき時代に入ったようです。

一方、番組でコンパクト化の是非が議論になったように「身の丈」への転換は一種の暴力性も含んでいます。「上からの効率化」に陥らず、参加を通じた自発的な合意形成が本当にできるのか、日本社会にとって大きなチャレンジです。

「地域にあったオリジナルな方法は必ずある」と信じて、まちの将来を描く作業に参加するのも意外に面白いかも、と私は感じるようになりました。

インフラという「重荷」」への1件のフィードバック

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