一澤帆布の「お家騒動」(1)

投稿者: | 2005-12-23

上質の手作りかばんで知られる京都の老舗ブランド一澤帆布が、遺産相続をめぐるトラブルでもめています。


先代の会長である故一澤信夫氏が遺した、二通の遺言書。古い日付の一通は社長である三男信三郎氏に有利なものでしたが、新しい日付の一通は会社にあまりタッチしていなかった長男信太郎氏と四男喜久夫氏に有利なものとなっていました。

新しい遺言書を無効だとして訴えた信三郎氏の主張は、昨年最高裁で敗訴が確定しました。そして現在は、会社の経営権を巡る主導権争いが、70名ほどの従業員をも巻き込む形で繰り広げられています。

参考記事:かばん3兄弟、遺産めぐり骨肉バトル「一澤帆布工業」(ZAKZAK)

当事者には失礼ですが、いろいろなことを考えさせてくれ、遺言や相続についてもいろんなことを教えてくれるこのケース、これから何回かにわたって取り上げていく予定です。

□二通の遺言書
事の発端は、信夫氏のものとされる二通の遺言書が出てきたことです。法的には後の日付のものが強い効力を持つことに疑いの余地はありません。しかし現実には、その新しい遺言書が本人の自発的意思によるものなのかどうか、古い日付の遺言書をどの範囲で撤回するのかなど、二通(そしてもちろんそれ以上の数)の遺言書の存在は、トラブルの温床です。

□トラブルを防ぐには
トラブルを防ぎたいなら、新しい遺言をするのに併せ、古い遺言書を破り捨ててしまうのが一番でしょう。さもなければ、新しい遺言書で「**年**月**日付の遺言書はすべて撤回する。」と宣言するべきです。

さらに言えば、今回のケースのように遺言の内容が当事者の一人(つまり信三郎氏)にとって明らかに不本意なものである場合には、あらかじめ自らの口で本人に通告しておくべきです。その上で、通告したこと自体を他の利害関係人に周知しておく、と。そうすれば、少なくとも遺言者の真意に反するような言動は大部分封じることができるはずです。

□この件の「教訓」
遺言で相続人をびっくりさせるようなことは、するべきでない。

一澤帆布の「お家騒動」(1)」への4件のフィードバック

  1. めだか

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    偽造まがいの遺言を有効にならないようにする、遺言の書き方はあるのでしょうか?

  2. めだか

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    偽造まがいの遺言を有効にならないようにする、遺言の書き方はあるのでしょうか?

  3. ひでりん

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    PASS: ec6a6536ca304edf844d1d248a4f08dc
    遺言書そのものは、自筆で書いて日付・署名・捺印すれば一応有効ですので、書き方だけで万全を期すのは不可能でしょう。

    日ごろから遺言する内容を公言しておくとか、遺言する際に遠縁の親戚や友人など利害関係の希薄な人を立ち会わせるとかして、真意と異なるものへの反証となる材料を自ら仕込んでおくのが賢明と思いますよ。

  4. ひでりん

    SECRET: 0
    PASS: ec6a6536ca304edf844d1d248a4f08dc
    遺言書そのものは、自筆で書いて日付・署名・捺印すれば一応有効ですので、書き方だけで万全を期すのは不可能でしょう。

    日ごろから遺言する内容を公言しておくとか、遺言する際に遠縁の親戚や友人など利害関係の希薄な人を立ち会わせるとかして、真意と異なるものへの反証となる材料を自ら仕込んでおくのが賢明と思いますよ。

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