かねてからの私の持論です。
いろんな会社や業界を転々としてみると、その会社や業界に固有の見方・考え方・やり方が唯一無比のものだと思っている人が少なくないことに気付きます。というか、他の会社や業界にはまたそこの「常識」がある、ということに思い至らないんですね。そういう意味も込めて「世間知らず」と呼んでいます。
一つの会社や業界にずっといることで、深く見えてくるものもあるでしょう。上達することも多いでしょう。でも「他」を知らないと、それこそ本人の気付かないうちにモノの見方が偏ったり固定化することがあります。モノの見方を広げるためにあえて転職しなさい、というのは本末転倒でしょうが、一社しか知らない、一つの業界しか知らない人は、自分が視野狭窄に陥っている危険性をしっかり自覚し、他の視点や意見を積極的に求めるようにすべきかと思います。
なお、上記では「一社」と「一業界」をひとまとめにしましたが、詳しく見れば「一つの会社しか知らない人」と「業界内の複数の会社を経験した人」はもちろん違います。基本的には、後者の方がモノの見方を相対化しやすいでしょう。他方で、その業界の「常識」への確信をますます深めてしまう危険性もあります。
ちなみに私自身は複数の会社、複数の業界を経験していますが、何しろ日本社会でしか生活したことがありませんので、超ドメスティックなのは間違いありません。