余命告知に損害賠償

投稿者: | 2013-03-08

詳細がわからないと、何とも評価やコメントしづらい(そして、恐らくすべきでもない)事案です。

でも、とても興味深いものであるのも、また確か。

損賠訴訟:余命告知に過失、遺族が徳島大病院を相手に提訴 /徳島- 毎日jp(毎日新聞)

徳島大学病院(徳島市)で胃がんと診断された女性が、医師から「数カ月」との余命を告知されたことにショックを受けて重い意識障害に陥り、満足な治療も受けられずに死亡したのは過失だとして、女性の家族が同病院を相手取り慰謝料など4585万円を求める損害賠償請求訴訟を徳島地裁に起こしていたことが分かった。

訴状によると、女性は11年3月、同病院で胃がんで余命数カ月と診断されたが、性格が臆病なことから家族は本人への告知を望まず、最初は医師から病名だけ知らされた。その後、担当した別の医師が余命を告げて以降、女性は家族が判別できないほどの意識障害の状態になり、12年4月に胃がんで死亡した。原告側は「余命は告知しないとの診療情報を医師間で共有する義務を怠った」などと主張している。

同病院は「訴状を検討中のためコメントは差し控える」としている。

告知されたために意識障害に陥るというのは相当で、家族の言い分が本当なら、告知(特に後者の余命告知)はそもそもすべきでなかったのかもしれません。そして仮に告知をするならば、家族とも連携しつつ十分に慎重を期すべきだった、ということでしょう。病院側が全部悪い、というのは行き過ぎな気がしますし、反論や異論はぜひ聴いてみたいと思います。でもいくらかの非があり、反省すべき点がある、とは言えそうですね。記事を読んだだけでも。

一方、こうした件について訴訟を起こし病院から賠償金を得ることが遺族の心にとって、また医療界の進歩・改善のために良いことなのか、という問題があります。それは前記の点とは別の論点として。

この手の事案が出るとメディアは意識的にか無意識的にか、医療者側をバッシングするような感じになりがちです。それは一般人の医療不信に多少なりともつながっていることでしょう。広い意味では、そうした敵対的雰囲気が今回のような事案の「素地」になった、と言えないこともないはずです。

こうした不幸な事件をきっかけにして、医療者とメディア、医療者と一般人の間で少しでも実りのある対話、相互理解が少しでも進むような対話が起こると良いのですが。 そのためにも、このケースをメディアはもっと詳しく報じてほしいものですね。もちろんプライバシーには万全の配慮を払っての上ですが。

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