Nスペ「家で親を看取る」を観て

投稿者: | 2013-05-01

4月21日に放送されたNHKスペシャル「家で親を看取る ~その時あなたは~」を、ちょうど一週間遅れで観ました。NHKオンデマンドにて。

NHKスペシャル|家で親を看取(みと)るその時あなたは

番組では3人の人の死が登場しました。その意味では、現代の我が国においては「衝撃作」のドキュメンタリーだったかもしれません。でも番組のトーンは全体に淡々としたもので、NHKスペシャルなどNHKの番組にありがちな告発調や煽りは、ほとんどなかったと思います。その点は私には少し意外でした。

さて私の方は両親とも健在。親の看取りはおろか介護ですら、「ずっと先のこと」くらいの感覚でいます。最近親を看取ったばかりの人、あるいはその時期が近づいている人には、番組は生々しすぎて最後まで観るのはつらかったかもしれません。こういう番組を熱心に観るのはえてして縁遠い人、という皮肉な状況があるんですよね。

番組を観ながら感じたことを、いくつか。

看取り人は女性ばかり
看取られる側は男女双方がいたのですが、看取る側として登場したのはことごとく女性でしたね。人によっては気にならなかったかもしれませんが、私はとても気になりました。介護・看護などを担当するのは家族のうちでも女性であるケースが多いこと、男性はあまりこうしたことの取材に応じたがらないこと、両方の要因があるのでしょう、恐らく。それにしても「異様」と言ってもいいくらいの偏りではありました。

お金の問題はまたも閑却
この番組に限らず、医療や介護のことがメディアで描かれる時、お金のことについて言及がなさ過ぎます。これはかねてから大きな不満です。「本音」や「現実」に触れたいのなら、お金の問題を避けては通れないのではないでしょうか。

不思議な現象が
胃ろうを中止する決断をしたら、実際やめる前に容態が急変して亡くなった。あるいは、離れたところにいる夫婦が1ヶ月くらいのうちに相次いで亡くなった。番組内では特に強調されていませんでしたが、死にまつわる不思議な現象が随所に顔を出していました。今回はそうした趣旨ではなかったから仕方ありませんが、いずれ「魂」とか「霊」といったスピリチュアルな視点にフォーカスした番組をつくっていただきたいものです。そうした見方を受け入れていれば、家族の側も死別の悲しみがいくらか和らぐでしょうから。

NHKスペシャル以外でも、NHKは結構この種のドキュメンタリーをちょくちょく制作しています。「人の死の現実を伝えたい」といった一貫した意思があるように感じられます。多死社会とも言うべきこれからの日本において、こうした番組はますます求められるようになることでしょう。

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