映画「お墓がない!」を観て

投稿者: | 2013-05-23

去年の秋のお彼岸シーズンにテレビ東京で放送されたものを、録画しておいたんです。

ohaka

半年以上、ハードディスクで眠っていたのですが、昨日やっと、観ました。それも私には珍しく、最初から最後まで一気に(いつもは、映画のDVDは何回かに分けて観るんです)。

お墓がない! : 作品情報 – 映画.com

解説
人一倍プライドの高い大女優が、自分が入るに相応しいお墓を探して東奔西走する姿を描いたコメディ。監督は「OL忠臣蔵」の原隆二。脚本は「新・静かなるドン」の大森寿美男。撮影を「鍵」の前田米造が担当している。主演は「極道の妻たち 決着」の岩下志麻。

感想としては、期待以上でした。面白いシーン、ホロリとするシーンが適度にあり、観る者を飽きさせない作品だと思います。劇中のかなりのシーンが映画の撮影場面というメタ構造になっているのですが、特にわかりにくさとかはなく。何より、主演の岩下志麻が好演でしたね。この映画が公開された1998年当時、彼女はまだ50代。老いなどかけらも感じさせない若々しさではありましたが。

この映画は今で言えば、「終活ムービー」ということになるのではないでしょうか。主人公が自分の死を意識して、お墓や葬儀の手配を考える。その中で、仕事や人生を見つめ直す、というわけです。伊丹十三監督の「お葬式」(1984年公開)は有名でありよくできた作品だと思いますが、さすがに平成の今では古めかしい部分も多々あります。それに比べると15年前のこの「お墓がない!」は、まだまだ終活ムービーとして現役だと思います。葬儀やお墓、そして戒名をめぐるやりとりなど、ハッとさせられることがたびたびでした。

本邦で「終活ムービー」と呼べるのは、この映画とドキュメンタリーの「エンディングノート」くらいでしょうか。今後こうした作品を意識しつつ、終活ムービーがちょくちょく制作されるようになる気がします。映画界もシニアシフトと無縁ではいられませんからね。ジャンルを形成するほどたくさん出てくるかはわかりませんが。

私としては、阿部寛を主演にした映画など、ぜひ観てみたいですねぇ。「結婚できない男」で婚活する独身男をユーモラスに演じた彼の終活を。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください