死者の遺言を悪用すること

投稿者: | 2014-01-27

日本を始め東洋には、「人のまさに死なんとする、その言や善し」とする伝統があります。

死の直前に放たれた言葉は、重く、尊いとする観念ですね。そうした観念があるおかげで、法的に強制力があろうがなかろうが、遺族は故人の遺志を尊重しようとするものですし、逆らうのににはひどく気がとがめるものです。

当人や家族についての希望や訓戒のようなものであれば、問題はありません。むしろ私は、一人でも多くの人がそうしたものを遺して亡くなるよう、働いていくつもりです。

でも本人に直接関係のない、政治的主張のようなものまで「遺言」とするのには疑問があります。あまつさえ、本人は必ずしも遺言のつもりはなかったのに、結果として死の間際に放たれた政治的言辞を「遺言」としてもてはやすのは、卑怯とすら思います。

こういう遺言の悪用(あるいは、遺言という語の悪用)がのさばると、長い目で見たら遺言尊重の美風まで廃れていきかねません。私の立場からは、はなはだ迷惑なことです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください