最低賃金をめぐる論争

投稿者: | 2014-02-18

日本では数円上げるかどうかの「攻防」ですが、アメリカではかなり論争の的になっているようで。

米で最低賃金引き上げ論争 背後に経済格差の拡大 :日本経済新聞 (会員限定記事)

最低賃金の引き上げは是か非か。米国で論戦が熱を帯びている。経済格差の拡大が背景にあり、オバマ大統領も重点課題に掲げた。だが経済学者は「所得増で消費や雇用が増える」「むしろ職を奪う」と真っ二つ。政治的な思惑も絡み、対立は激しさを増している。

賃金が低いと暮らしがきつい。だから法律で賃金の下限を引き上げるべき、というわけです。

法の網にかかる「職」にありつけた人には、目先それで万々歳かもしれません。でも実際には、こんなことも起こっているようで。

米国で最低賃金を引き上げたら、逆に最低賃金以下しかもらえない労働者が増えてしまった件 – Market Hack

最低賃金すらもらえない労働者の比率はコンスタントに上昇しました。

人数で言えば2006年の128万人が2009年には259万人になってしまったのです。

実は米国の最低賃金には例外規定があります。それは季節的なビジネス(一例:遊園地)、漁業、新聞配達、フリーランス、年商5000万円に満たない小企業などの場合は、最低賃金法が適用されません。

最低賃金を上げたところで、雇用の総量が減ったり、上記のように適用除外されている雇用に流れたりしたのでは、意味がありませんよね。ビジネスをしやすい環境を整えて雇用を増やすのも立派な「雇用対策」のはずですが、最低賃金をむやみに引き上げるのはそれに反しています(そもそも私は、最低賃金という規制自体、やめたほうがいいのでは、とすら考えています)。

もう一つ。いくら法の力で賃金を下支えしたとしても、暮らしのコストがそれ以上に上がったのでは、帳消しです。水道光熱費や食費などは生きていく以上必ず支払わねばならないものです。その値上がりを防ぐ、あわよくばコストを下げるようにする政策こそ、政治に求められることだと考えます。仮に賃金が同額でも、その部分の支出が減れば、他のところに使う余地が広がります。それがひいては経済・ビジネスの活性化にもつながるのではないでしょうか。

最低賃金をめぐる論争は、おのおのの経済観、社会観が如実に反映されて、なかなか興味深いものです。今後もいろいろ考えてみたいテーマの一つ、ですね。

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