日本人には、書面による意思表示がなじまないのかも・・・

投稿者: | 2014-04-05

先日、厚生労働省の「終末期医療に関する意識調査等検討会」から報告書が出ました。

一般国民や医療・介護関係者に対して、終末期医療についての意識を問うた大々的なアンケート。その集計と分析をまとめた報告書です。PDF文書を下記のページからダウンロードできますので、この種の問題に関心がある人は、ぜひご一読を。

"終末期医療に関する意識調査等検討会報告書及び人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書について" 終末期医療に関する意識調査等検討会(平成24年度~)審議会資料 |厚生労働省

興味深かったのは、次の点です。「自分で判断できなくなった場合に備えて、どのような治療を受けたいか、あるいは受けたくないかなどを記載した書面をあらかじめ作成しておくこと」については、一般国民で7割、医療・介護関係者で7~8割超が「賛成」としてます。他方で、その「賛成」とした人たちのうちで実際に書面を作成しているのは1割以下、というか5%にも満たないのです。

一般論として訊かれれば「いいんじゃないの」と答えるけれど、自分で行動にはうつそうとしない。言行不一致じゃないか、とか怠惰じゃないかとなじることは簡単ですが、さすがにこれだけ根強いギャップが続いているのを見ると、日本人は根本的に、書面による意思表示を忌避しているのではないか、と思わざるをえません。この傾向は、財産に関わる遺言書でも同様ですし。

なぜ忌避するのか、についてはいろいろな理由が考えられます。文書にして固めてしまうと、揺れ動く気持ちと乖離するような気がする。家族がいいようにしてくれるだろうから、それを縛りたくない。自分自身の終末期や死を前提にした文書をつくるのは、縁起が悪いような気がする。などなど。いずれにしろ、この傾向は5年や10年では変わりそうにないな、と見ておいた方が良さそうです。

生前準備の普及を図ろうとする者にとっては、日本人になじむやり方を考えなければなりません。でないと、こちらがいくら旗を振っても空振りに終わるでしょうから。といって、今の段階で妙案があるわけではありません。これから考え、提案していくつもりです。

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