人口1億人は維持できるか

投稿者: | 2014-06-12

ここのところ、政府の各種提言で「人口1億人を維持する」という話が聞かれるようになってきました。

わかりやすい目標を掲げるのは大切なことですが、「1億人維持」というのは無理があるかな、と感じています。何しろそこで想定されている出生率(合計特殊出生率)は2.0以上です。現状1.4そこそこであることを考えると、かなり大胆な手を打ち、社会を変えない限り回復できる数字ではないでしょう。同時に、そこまでやろうとすると別の弊害が出てきかねません。

出生率の目標は理想である2.07と現状の1.4の間である1.7~1.8とし、「人口減少のスピードを緩める」くらいが穏当な目標設定だと考えます。実際には、これすらも実現が容易とは思えないのですが。

出生率が低い水準にある大きな理由の一つが、未婚率の上昇や晩婚化・晩産化です。これは日本社会のさまざまな変容に根ざしており、傾向を逆転させるのは容易ではありません。出生率向上策として必ず出てくる「子育て支援の充実」といったことは、この点には全く関係がありませんから。

一方、これもよく言われることですが、結婚や子育てに踏み切るには経済的安定が必要、というのはその通りでしょう。ただしこれについても、正社員化を唯一の解であるかのように考えておかしな規制を作ったりしたら、百害あって一利なしみたいなことになりかねないでしょう。正社員になれる人が今より減り、雇用が海外に流出するとか。

人口減少に歯止めをかけるために知恵を絞るのは良いことです。ただしできるだけ「愚策」が採用されないことを願いたいものです。

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