少し前にこんな記事を目にしました。
「健康寿命」延びれば2~5兆円節減 医療・介護費、10年間で推計 – ファイル – アピタル(医療・健康)
健康状態に問題がなく自立して暮らすことができる期間を示す健康寿命を長くして、介護が必要な人を減らすと、10年間に5兆~2兆円程度の医療・介護費用が節減できる。こんな推計を厚生労働省研究班(主任研究者=辻一郎・東北大教授)がまとめた。
末尾に専門家の「予防や健康維持の事業費が、年間二千数百億円の節減額を大きく下回れば、全体の費用を抑えることにつながる」というコメントが紹介されています。
間違いとは言いませんが、やや視野が狭いのでは無いでしょうか。健康寿命が延びることの経済効果は、医療・介護費用の節約にはとどまりません。本人や家族が労働・消費に充てられるお金や時間が増すことで、経済に無視できないほどのプラスになるはずです。また金額に換算するのは難しいでしょうが「人生の質」が向上することの効果も無視するべきではありません。
そう考えると、節減できる医療・介護費用が事業費を多少下回ったとしても、トータルでは「お釣りが来る」と考えられます。予防に取り組む価値はあるのではないでしょうか。長い目で見れば、予防策も効率化・低コスト化するでしょうし。そうなれば、予防の費用対効果は更に向上します。
同じことは、個人のレベルでも言えます。トータルで節減費用以上の効果を見込めるとすれば、目先は多少赤字になるとしても予防に取り組むべきです。何より、多くの人は赤字になるほど真剣に予防には取り組んでいないでしょうから、心配するのは早すぎですけど。