金と命と

投稿者: | 2015-02-09

少し前の記事、ずっと頭に残っています。

「私を死なせて」中国の母親が漏らす-がん治療で破産危機も – Bloomberg

中国広東省で暮らす蕭彩玉さんは、小規模ながら夫と共に豚肉販売業を営んでいた。3万元(約57万円)強の貯金もできたが、子宮頸がんの診断を受けて数カ月でそれを使い果たした。一家は今、重い借金を背負い、事業は閉鎖した。

「がんが進行しても治療は受けない。お金がない」。3人の子供を持つ蕭さん(52)は話す。

中国では急激な景気拡大の波に乗って裕福になった一家が、家族のがん診断によって破産に追い込まれるケースがしばしば見られる。国民の大半が政府の健康保険の適用を受けている国でも、がん患者は高額な薬代など治療費を賄うには全く不十分だと感じている。

一人っ子政策の余波もあり、人口の少子高齢化が急速に進む中国。経済成長や社会保障制度が国の「老い」に追いつけず、今後全国でこうした悲惨な話が続出するのではないでしょうか。人口が多いだけに、その数も膨大でそのうち「ニュース」にすらならなくなるかもしれません。

我が国の場合、これよりはましと言えるでしょう。けれども国全体としては、高齢者の医療や介護にお金と人を吸い取られて活力がなくなっていく、というさまが容易に想像できます。

だからこそこの分野には、もっとイノベーションを求めたいものです。従来とは比較にならないくらい低コストで、あるいは従来とは比較にならないくらい手間の掛からない方法で、従来と同じかそれ以上の治療成績を上げるようなイノベーションを。もちろんコンピューターやバイオなどのテクノロジーを使うことも重要でしょうが、社会的なイノベーションにも開発の余地があると見ています。

多くの人が知恵を出し合いたいものです。記事に出てきた蕭彩玉さん(52)が生きている間には間に合わないかもしれませんが、彼女の子供たちの世代には同じようなつらい思いをさせたくありませんからね。

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