生前準備について考え、いろんな本を読んできました。
その中で確信のようなものとして浮かび上がりつつあることがあります。「自分」にこだわる生前準備は結局、行き詰まるしかないのではないか、ということです。
この分野では「自分らしく」というのがキーワードのようになっています。ただそこで示される「らしさ」というのは、たかだか趣味や好みのレベルに過ぎず、他人にとってはある意味どうでもいいことなんですね。実際のところ、死にゆく当人にとってさえ、そうなのではないでしょうか。
でもそこにこだわるしかないのは、「自分らしさ」を言う人たちはみんな、人は死んだら無になると考えているからでしょう。そうした死生観だからこそ、あるいは死生観がないからこそ、よりどころになるのが最後は自分しかない、ということになるのだと思います。
個人の人生やいのちを、大いなるものの一部とみなす生命観・死生観。今の日本では「キワモノ」扱いされかねませんが、そのうち多数派になっていくだろうと信じています。この立場から見ると個人主義(もっと言えば自己中心主義)はせせこましく、幼稚なものに見えるだろうからです。後戻りは、できないのですよ。