福島第一原発の事故は、いろんな問題を生み出しています。
中でも、避難を余儀なくされた人や、農作物などに損害を受けた人への補償は、大問題です。その額は数兆円を下るまい、と言われていますから。そしてそれに伴い、東京電力の保有資産や経営体制も、大きく見直さざるをえないだろう、と考えられています。
こうした問題を考えるときに押さえておきたいのは、そもそもこの事故は天災なのか人災なのか、という点です。さすがに100%天災と考える人はいないでしょうが、逆に100%人災だと考えている人、あるいは無意識のうちにそれを前提にして東電を悪し様に罵る人は、少なくないようです。私見では、100%人災だというのは、100%天災だと考える以上に真実から遠いと思います。
東電に不手際があったとしたら、
- 津波によりバックアップ電源が機能しなくなった
- 事故の発生後の対応が不適切だった
の2点しか考えられません。
前者については、そもそも大津波がなければこんなことにはならなかったのだから、人災と言い切ることはできないでしょう。また「東電のせいかどうか」ということで言えば、監督者でもある国にも責任はあったと言わざるをえません。
後者については、率直に自分はよくわかりません。ただ責任追及をするのであれば、どの時点でどうすれば良かったのか、具体的に指摘しないと、説得力を持たないと思います。「東電はダメだ」では、お話になりませんよね。
電力会社の地域独占や、原子力における監督官庁とのもたれあいが、ある種の腐敗・堕落を生んでいたことは私も賛同します。ただ、乱暴な「東電バッシング」はあまり建設的じゃないなぁ、と思うんですよ。
【今日の突破口】ジャーナリスト・東谷暁 東電叩きによる「人災」+(1/2ページ) – MSN産経ニュース
この方の議論、考え方が違っていて普段はあまり読まないのですが、これには概ね賛成です。そしてこれが暴論扱いされる世の中の方が、危険なのではありませんか。