一般に「寿命の平均的な長さ」というと平均寿命が挙げられることが多いです。
これは0歳児の平均余命を指します。
けれど我らのイメージする「だいたいどれくらいまで生きられるか」には、寿命中位数を見た方が良さそうです。平均寿命には若くして亡くなる人の分も反映されているため、より実感に近い数字と言えるのではないでしょうか。
去年の数字ですと、平均寿命は男性が80.50年、女性が86.83年なのに対し、寿命中位数は男性が83.49年、女性が89.63年です。
よく「人生**年」と言われますが、女性に関しては「人生90年時代」に入っています。女性より短命な男性の場合、「人生85年弱」といったところでしょうか(笑)。
さて、今後医療技術や健康に関する医学が進歩して、人間の寿命が大幅に延びたとしたら、人生観や死生観はどうなるでしょうか。それも「人生100年」なんてものではなく、「人生200年」とか「人生1000年」といった風に考えられないくらい長くなったら。
もはや四捨五入すると50歳、いわゆるアラフィフの域に入っている我らはその実現を見る前に寿命が尽きるかもしれません。でも今の30歳以下の人だと、それを見ることになる可能性があります。現在は120歳程度が人間にとって寿命の限界と言われていますが、それを突破することになるわけです。
こうなると、生き方は当然今とは様変わりするでしょうね。
結婚相手や仕事を何度も選び直すというのが当たり前になりそうです。また人生がとてつもなく長いので、副業ならぬ第二、第三の本業を持つ人が増えるかもしれません。そして何より、これだけ長いと死ぬということが向こうから来る「お迎え」ではなしに、自ら主体的に出向いていくものになりそうです。直接・間接含めほとんどの人が「自死」を遂げるようになるのでしょう、きっと。
私は普段、「人口が高齢化すれば社会の中で老いや死についての関心は自ずと高まる」と予想した上で考えたり行動したりしています。けれど寿命が桁外れに延びれば、そうはならないかもしれません。若さを維持すること、そしてたっぷりある人生をどう費やすかのほうが改めて関心を集めそうです。近いうちに寿命が大幅に延びる、と決まったわけではないのであまり意識しすぎるのもよろしくないでしょうが、「あり得べき未来のシナリオ」として頭のどこかに置きながら生きていくつもりです。