30年以上にわたって続いた名物ドラマシリーズである「3年B組金八先生」が、先週の最終回スペシャル(4時間の放送!)で完結しました。
武田鉄矢さん演じる坂本金八が定年退職を迎える、という設定です。武田さんは今年62歳になるそうで、確かに潮時でしょう。視聴率のことは存じ上げませんが、TBSとしてももう「このシリーズを何としても続けねば!」という風にはならなかったんだろうと思います。
ドラマとしての「金八」は、かなりの傑作だと思います。武田鉄矢氏の演説みたいな長広舌と、随所に見られるコメディは、とても輝いていました。そして、平均的な中学校からすれば過激なテーマをどんどん盛り込んだのは、「問題作」「意欲作」と評価していいと思います。
ただ、昔は楽しんだ者として、このドラマが日本の教育にプラスになったかどうか、という点には大いに疑問があります。もっと言えば、足を引っ張った面もあったのではないでしょうか。
このドラマを観て教員を志した、という人もきっといることでしょう。作り物であり、いわばキレイゴトのドラマが理想になるのは、本人にとっても、そして教わる生徒にとっても、必ずしもプラスにならないのではないでしょうか。
そしてもう一つ、センセーショナルなテーマを次々繰り出したことは、ドラマとしてはまっとうですが、教育を冷静に語る上ではあまり役に立ったとは思えません。本当の「問題」から目をそむけさせる効果を生んだ面もあるのでは?
以前「プロ教師の会」の方が、金八先生賛美に異を唱えておられました。現役のベテラン教師がこのドラマをどんな風に観たか、聞いてみたいですねぇ。テレビドラマとしての評価とは別に、教育ネタとしての「金八先生」の功罪は、改めて検証する必要があると思います。