先月放送されたNHKスペシャル「命の終わりと向き合うとき」を一足遅れで観ました。
最近、NHKはEテレなどで死についての恐怖をあおるようなおどろおどろしい番組を相次いで出していました。今回のNHKスペシャルもそうした路線なのかと懸念していましたが、杞憂でしたね。
終末期医療の現場で起こっていることを視聴者に示し、「自分の時は・・・」と考えたくさせるようなバランスの取れた内容だったと思います。今後もアンコール放送みたいなのがあるかもしれませんが、他の人にも自信を持って「観てみて」と薦められます。
NHKスペシャル | シリーズ 人生100年時代を生きる第2回 命の終わりと向き合うとき
ひとつ不満だったのは、お金の話が一切出てこなかったことです。本人や家族にとっても、また日本全体としても医療にどれだけ金が掛かるか、というのは意思決定の重要な要素ではないでしょうか。特に今後は財政が厳しくなるとお金のことが医療の制約要因として大きく作用してくるようになるはずです。できればNHKには「医療とカネ」に焦点を当てたNHKスペシャルを別途つくってほしいくらいです。
そしてもう一つ、根本的な疑問があります。終末期の医療に何をどれだけ望むか考えるにしても、結局のところ「何のために生きるのか」「自分の命は何のためにあるのか」みたいなことに対してしっかりした答えがないと、砂上の楼閣みたいなものなんじゃないかということです。
これは番組を観る前からもずっと私の問題意識です。また、そのことが問題だと日本社会であまり感じられていない、またあまり語られないことこそ「大問題」なのではないかと思ってます。