情報爆発の時代に

投稿者: | 2009-04-19

ネットの世界に身を置いていると、「情報爆発」という言葉が実感を伴って理解できます。

ウェブに載ってくる情報、ウェブ上を流れる情報が急速に増えていく。そしてそれが情報についての情報やコメントなどメタ情報を生み、さらに情報の生成・流通に拍車が掛かる。よく「現代の我々は、17世紀18世紀の人が一生の間に触れていた情報に、数週間(あるいはもっと短期間)で触れる」なんてことが言われたりしますが、さもありなんと感じます。

近代に入り、エネルギー消費や国内総生産が爆発的に上昇した、というグラフ、ご覧になったことがあるでしょう。人口も、そうかな。情報に関して言えば、恐らくここ10~15年くらいでこうした指数関数的上昇カーブを描き始めてるんじゃないでしょうか。

さてこうした情報爆発、社会をどんな風に変えているでしょうか。また、これからどんな風に変えていくでしょうか。

皮相化
これは既に生じています。情報が増えたからといって、使える時間はあまり変わりませんから、必然的に個々の情報に向き合える時間は減っていきます。たとえば一冊の本に対する愛着、一つのテレビ番組を観る熱心さは、確実に減退しているのではないでしょうか。

スピード化
上の皮相化とも関連したことですが、世の中のスピードがどんどん速くなっています。これは功罪両面あるでしょうね。改善や改革が急速に行われるようになるという利点があると同時に、人びとの生はより慌ただしく、時間に追われるようなものになっています。

専門化
誰もがあらゆる分野に通暁する、なんてことは不可能になっています。特定の領域を決めて、自分はこの分野の専門家になる、との構えで系統的な情報収集をしないと、結局全ての分野について素人、ということになりかねませんから。

相対化
これは見通しレベルの話ですが、多くの、それも多様な情報に接していると、物事を客観視できる能力は増すように思います。これからの時代、偏頗なイデオロギーはますます生きづらくなるんじゃないでしょうか。

情報爆発そのものは止めようがありません。そしてある程度はこの流れに適応しないと、これからの世を渡っていけないのも事実です。ですがある程度情報の流入を制限し、あるいは多量の情報から逃れる時間を持たないと、精神が病んだり、生が貧困化するおそれがあるような気がします。自戒を込めて。

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