先日、ある学者さんが新聞のコラムに、最近になってLPレコードを聴いて楽しんでいる、ということを書いておられました。
クラシックが好きだというその人、CDが出始めた頃にあらかた手持ちのレコードを処分してしまったそうです。けれどレコードには、CDには出せない味わいがある。「愚かなことをした」とも書いてありました。クラシックの場合は特に、CDがレコードにかなわない部分が目立つのでしょう。
デジタルの優位性を日頃から信じ、むしろそれを推進したいと思っている私としては、大いに反省させられたことでした。「便利さ」という点ではデジタルの優位は間違いないと思いますが、アナログの持っている情報、さらには味わいまでもデジタルが取り込めているわけではありません。デジタル一辺倒になっては、取りこぼしてしまうものがあるかも、ということは押さえておいた方が良いように思います。
よく言われるように、メールなどネットを通じたコミュニケーションでは、対面コミュニケーションを完全に代替できませんし。
陳腐な結論になってしまいますが、デジタルとアナログ、それぞれの長所を使い分けることこそが、最も賢明なのでしょう。(なお、こうした二元論自体、きわめてデジタル的なのですが・・・)
ところで、上記のコラムでは「人生の残り時間は限られているから、いいものを選びたい」といったことも書かれていました。筆者はもちろん私よりかなり年上です。私もいずれ、いろんな面で「便利さより質」というシフトを図っていかなければ、とも思ったことでした。