貧困率の上昇

投稿者: | 2011-07-21

先日厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」により、我が国の相対的貧困率が引き続き上昇していることが明らかになりました。

貧困率:09年、最悪16.0% 子供3年で1.5ポイント増--国民生活調査 – 毎日jp(毎日新聞)

厚生労働省が12日公表した10年の国民生活基礎調査によると、全国民のうち、低所得の人の割合を示す「相対的貧困率」(09年)が16・0%となり、前回調査の数値(06年)より0・3ポイント悪化した。データがある85年以降最悪で、国際的にも高い日本の貧困率は改善に向かっていない。子供(17歳以下)は1・5ポイント増の15・7%で、低所得の家庭で育てられている子供が増えていることを裏付けた。また、高齢者世帯数の推移を見ると、65歳以上のみの世帯が1018万8000世帯(全世帯の20・9%)に達し、初めて1000万世帯を突破した。

「格差」を問題視する人たちは、早速このデータを政治的アピールに活用しています。

ただ、この「悪化」には人口の高齢化も大きく作用しているはずです。どこまでが高齢化によるものか、どこからがそれ以外の要因によるものかをきちんと分けて分析しないと、過ちを冒す危険があるのではないでしょうか。

そしてもう一つ言いたいのは、賃金が伸び悩み、あるいは下落する中で、その影響が一様でないことも、この数字を押し上げている可能性がある、ということです。つまり、非正規労働者や民間の中小企業で働く人と、公務員、大企業正社員との「落差」です。

もとより、付加価値を生む人が多く稼ぐのは好ましいことです。でも我が国では、上記の後者に該当する人たちはいわば「特権」を得ていて、賃金下落の圧力を相対的に免れてしまっているのではないでしょうか。手厚い年金を受け取っているOB・OGも含めて。

もし「相対的貧困率」を下げたいなら、そうした恵まれた人たちの収入を適正化することによっても、図られるはずです。

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