著名芸人にして売れっ子司会者だった島田紳助さんが、芸能界を突然引退しました。
暴力団や暴力団関係者と交際があった、ということが理由です。テレビにあれだけ露出していた人が、突如として姿を消す。多くの「なぜ?」が頭に浮かびます。なぜ謹慎でなく引退なのか。なぜこのタイミングを選んだのか。なぜ吉本興業はこうもあっさり看板タレントを見放すのか。
仮説的に言えば、
- 今後「逮捕」につながるような不法行為に足を突っ込んだ
- 暴力団のことは口実で、紳助は引退のしおどきを見計らっていた
- 吉本と紳助の間で、金銭面や処遇面での齟齬があった
といったことが考えられます。
上記の「なぜ?」に明確な答えが出るには何年もかかるかもしれませんし、この先も出ないかもしれません。いずれにしろ、吉本興業は看板芸人を随分あっさり辞めさせた(ないし、辞めようとするのを止められなかった)ものだな、と思います。
本件で改めて、暴力団との関わり、ということが社会的関心事になろうとしています。聞けば、警察の対応や自治体の条例を通じて、「暴力団排除」というのは我々一般人の感覚以上に先鋭化しているようですね。
参考記事:警察庁「山口組壊滅作戦」で地下に潜りマフィア化する暴力団の恐怖 安藤隆春警察庁長官への期待と不安 | 伊藤博敏「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社]
もとより自分も、暴力団の不法行為に加担したり、暴力団に金払って仕事させるのを擁護するつもりはありません。一般人がやって法に触れることは、当然暴力団も罪に問われるべきです。ただ暴力団の存在そのものを「非合法」にし、やることなすこと反社会的行為と決めつけることには、疑問を持っています。
目的は、治安を良くする、ということなはずですが、こうした手法が長い目で見てその目的にかなうかどうか、疑問なのです。単に「臭いものに蓋」ということにすぎず、暴力団に別の抜け道を取らせるだけか、あるいは仮に目先暴力団を「壊滅」できたとしても、もっとひどい悪の集団をおびきよせるだけではないのか、という気がしてならないのです。
そもそも「暴力団」という呼び方自体、取り締まる側のものです。我々市民は、「暴力団=悪」という単純な図式に思考停止するのではなく、真に日本の治安を、そして日本社会そのものを健全化するにはどうしたらいいか、ゼロベースで考えるべきではないでしょうか。