「増税反対!」と言う人には錯覚がある

投稿者: | 2011-08-29

我が国の政策論議において、増税(とりわけ消費税の増税)は、はなはだ評判が悪いです。

増税は景気が良くなってからにしろ、とか、歳出削減の努力が足りないとか、「口実」はいろいろです。ただいずれにしろ「増税は許さない」というお考えの方は、結構多い。それで本質的には「小さな政府」を求める私のような者が、増税の必要性を説くハメになっています。

歳入は大きく不足している
まず確認しておくべきは、無駄遣いがどうとか言う以前に、我が国の財政構造は圧倒的に「歳入<<歳出」となっていることです。本来徴収するべき税金を国債という形で将来にツケ回しをしているんです。歳入を増やすための増税は、その意味で正常化・健全化なんです。

もとより歳出の削減や、社会保障などの歳出増加圧力の緩和は必要でしょう。ただそれで間に合うほど我が国の歳入は十分ではありません。

景気が良くなってから・・・
「景気が良いときに増税するのなら、構わない。だが、景気が決して良くない今増税するのには、反対だ」という意見は、一見良識的です。ただそんなことを言っていたら、財政的破局が来るまでついぞ増税できないかもしれないじゃないですか。事態の切迫性を考えると、「景気が良くなってから」ではなく「景気が悪くなければ、可及的速やかに」とするべきでしょう。

そもそも、我が国の景気がふるわない要因の一つは、財政健全化への道筋が不透明なことです。国民が「財政は健全化に向かっている」と感じれば、消費の萎縮も少しはゆるむのではないでしょうか。

それでも、大増税はさすがに良くない
さてそんな私でも、「足りない分は増税で賄えば良い」と思っているわけではありません。消費税は相当程度(15%くらい?)まで段階的に税率を上げていくとして、他方では所得税や法人税といった直接税を多少減税するべきと考えています。差し引きでは「大」が付かないくらいの増税を、何回かに分けてやるのが良いでしょう。規模としては、せいぜい1~2兆円ほどで。

もちろんこれでは、財政健全化には不十分です。併せて、歳出削減や、経済活性化による税収増も図るべきでしょう。歳出削減と税収増だけで行ける、と考えるのは甘過ぎです。同時に、増税一本槍というのでは、自分で自分の首を絞めるようなもので、さすがに愚かでしょう。手探りで程良いミックスを見いだして行くしかなく、どちらかを端から排除するようでは財政健全化に失敗するのは必至と見ます。

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