無償ボランティアの落とし穴

投稿者: | 2012-03-06

ボランティアで、世のため人のために働く。

とても立派なことのように思えます。ただ最近、ボランティアには致命的とも言うべき弱点があるのではないか、と思うようになりました。

中日新聞:協力するが受けるの嫌 高齢者支援ボランティア:岐阜(CHUNICHI Web)

地域内で高齢者を支えるボランティア活動に協力的だが、支援を受ける側には回りたくない人も多い-。こんな結果が、地域での高齢者支援活動について、県が初めて行った住民の意識アンケートで明らかになった。少子高齢化で独居老人が増える中、支援する側とされる側の意識のギャップが浮き彫りになった。

・・・

地域のボランティアでは、高齢者の見守りや災害時の避難支援のほか、話し相手になることが主に求められており、こうした活動に「近所だから」「将来自分も世話になる」からと、全体の87%の人が「できる範囲で協力したい」と答えた。

一方で、支援を受けたい人は全体の31・7%で、受けたくない人も25・6%と多かった。特に支援を受ける可能性が高い70代は「受けたくない」が36・7%、80代は28・3%おり、消極的な傾向が顕著だった。

受けたくない理由は「地域の人に気を使うのが嫌だから」が4割近くあり、最も多かった。

受けたくない理由のすべてがボランティア相手だから、というわけではないでしょう。それでもきちんと対価を支払う形であれば、気兼ねなく利用する、という人はかなり増えるのではないでしょうか。無償で人(しかも赤の他人に)に何かをやってもらうのは申し訳ないやら情けないやらというのは、多くの人に共通した心理かと思います。 その点、お金を払ってやってもらうのであれば、気持ちの上で「割り切り」がしやすいことと推察します。

この際、現金でももちろん良いですが、地域通貨のようなものを使えたら、地域内での相互扶助のシステムが機能するようになって、一石二鳥なのではないでしょうか。

ボランティア活動に関連したところでは、少し前にこんなニュースも目にしました。

東京新聞:高齢者をお助け ポイント制断念 中野区:社会(TOKYO Web)

高齢者世帯などを訪ねたり、家事の手伝いをしたりするとポイントがたまり、区内で使用可能な商品券と交換できる「地域支えあいポイント」制度を計画していた東京都中野区は、事業推進を断念した。区民の間に、ボランティア活動を金銭価値に換算するような制度に抵抗があったという。

このポイント制度は、高齢者や障害者ら社会的弱者を地域で支える活動を強化するとともに、他のポイント制度と合わせて地域経済の活性化を図る狙いがあった。区は二〇一一年度予算に関連費用を盛り込み、制度開始の準備を進めていた。

区側は町会連合会の集まりなどで、ポイント制度の説明をしたが、実際に高齢者らを支えるボランティア活動をしている人から「ポイントが欲しくてやっていると思われるのが嫌」などの声が上がったという。

ボランティアをやられている方々は、相当なプライドをお持ちのようですね。はたから見ると、片意地にしか見えないのも事実ですが・・・。

個人的には、最低賃金の規制を撤廃して、人々が多様な組織・団体と関わり、多様な働き方・生き方をデザインできる社会が理想です。そこに上にも書いた地域通貨などお金の多様性が結びつけば、社会を活性化する大きな突破口となるのではないでしょうか。

先日、フジテレビ系列のニュース番組で「パラレルキャリア」というものが取り上げられました。本業意外にボランティアなどに従事することを言います。別のエントリーで、このパラレルキャリアについて考えてみるつもりです。

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