恩返し、つまり恩を受けた人に恩を返すことについては多くの人が知っていて、また意識もしていることでしょう。
それに比べると「恩送り」は、知名度も低く、意識している人は少ないように思います。私自身も、知ったのは成人してから随分経ったあとだったように思います。映画「ペイ・フォワード」をDVDで観たのが21世紀に入ってからですから、30歳を過ぎていたかもしれません。
道徳を学校の教科として教えるかどうかは、いろいろ議論のあるところでしょう。けれど次世代を生きる子供たちに何らかの道徳的よりどころみたいなのを伝授するとしたら、ぜひこの恩送りも加えたいところです。それも、優先順位のかなり上の方に。
恩返しは教わらなくても割と自然に「したい」「しなければ」と思えるでしょうが、恩送りは必ずしもそうではないからです。また善行についての考え方を広げてくれるので、善行をより自由により柔軟に行えるようになり、結果として社会全体の「善行の総量」みたいなのが飛躍的に増えることが期待できそうです。良いことずくめじゃないでしょうか。
さてこんなことを考えていたら、ちょうど恩送りに触れた記事を見かけました。素敵なお話です。
独り身で質素に暮らしていた男性、コツコツ貯めた多額の財産を見知らぬ子供たち33人の教育費に寄付(アメリカ) : カラパイア
自分の人生に、決して多くを望まず謙虚に生きたデールさん。33人の子供たちに、彼が唯一求めたことは、立派になった子供たちがいつか見知らぬ人たちへ“恩送り”をしてほしいということだった。
ありがちな偶然ですが、心を前向きに保っていると良い方の偶然が次々と舞い込んできたりするものですよ。決してバカにしてはならない、と思いますよ。