きれい事では済まされない

投稿者: | 2016-09-22

フリーアナウンサー・長谷川豊氏のブログ記事が物議を醸しています。文字通りの炎上というヤツで。

当該のブログ記事はこちら。

経過をまとめたJ-CASTの記事が下記になります。

「自堕落な生活で人工透析やってる連中なんか全員殺せ」 長谷川豊ブログ・発言が物議 : J-CASTニュース

人口の高齢化とともに医療費の負担が膨らみ続けています。総額は増える一方なのに少子化で現役世代は細る一方ですから、現役世代にかかる負担は加速度的に重くなりつつあります。介護保険制度も併せれば、その負担はさらに増します(現状は医療費の方が4倍以上ですが、介護給付の伸びの方が大きいので、そのうち2倍くらいまで差が縮まりそうです)。

ということで、長谷川氏の問題提起そのものは悪くないと考えます。ただ議論が雑すぎ、言葉遣いが乱暴すぎで、建設的議論を促すどころかかえって反発を招く結果になっています。本人としてはそこがむしろ狙いだったのかもしれませんが、その点では「罪深い」と言わざるをえません。

一方正義の味方のつもりになって長谷川氏を批判している人も、上記のような財政上の難題に真剣に向き合っているのでなければ、偽善者とか無責任と言われても仕方ないと思います。現に私は彼らについてそう感じています。

私の知る限りでは、今年になって週刊誌や新聞などで「医療とカネ」のことが積極的に取り上げられるようになりました。従来はタブーに近い感じだったので、潮目が変わったな、という印象を持っています。たとえば今週の「週刊東洋経済」でもまさにそういう話題・議論が登場しました。

ただそうした認識が広まるには時間が掛かるもので、今回の件も長谷川氏個人による「暴論」として片づけられそうです。この調子では、それこそいよいよ財政が危機的な状況になったとき、暴力的な形で医療・介護サービスのカット(加えて大幅な負担増)を行わざるをえなくなってしまうでしょう。

我らがすべきは、正義の味方ぶることなんかではなく、現実をきちんと受け止めて、医療費削減策・抑制策を一つずつでも試行していくことではないでしょうか。

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