「クルマ離れ」という時代の波

投稿者: | 2008-12-27

ここのところ、自動車メーカーの苦境を伝えるニュースが続いています。

国内販売はしばらく前から不調だったわけですが、それをアメリカや新興国での販売でカバーしていたところ、そっちでも売れなくなり、さらに円高で泣きっ面に蜂、といったところのようです。

免許すら持っていないためクルマを持たない私ですが、クルマ離れはかなり根深いものがあると見ています。

まず、モノにしろコンテンツにしろ、他にお金を費やすに値することが増えたため、自動車関連支出の優先順位が下がり、相対的に割高感が感じられるようになったこと。

我が国で言えば、非正規雇用の労働者に代表される低所得者が増えたことも、自動車の販売不振の一因であるのは確かです。でもたぶん、同じ所得水準で見ても以前に比べれば、自動車の保有率は下がり、より低価格の車にシフトし、より長く乗るようになっているんじゃないでしょうか。

次に、環境問題がクローズアップされたことで、自動車にダーティなイメージが定着したこと。普及し始めた頃は憧れの機械だったであろう自動車も、今は生活の足として日常化(あえていえば陳腐化)しました。そうした中、環境問題の元凶みたいな捉え方をされるようになると、イメージは悪化する一方です。

ついでに言えば、昨今の「派遣切り」も、経営判断としては致し方ない面もあろうかと思いますが、自動車メーカー、ひいては自動車のイメージを極度に悪化させたのは間違いありません。絶好調だったときから既に、2ちゃんねるではトヨタ嫌いが顕著でしたが、今回の一連のニュースは、それを一般のレベルまで広めるだろうと思います。

最後に、自動車は高齢化する社会においてメインの交通手段ではありえません。とりわけ都市においては。今後は、地方や業務での利用を除けば、自動車を保有することは一種の趣味のようなものになるんじゃないでしょうか。

こんなわけで、クリーンで低価格、自動運転機能を備えていて渋滞知らず、といった夢のクルマでも開発されれば別ですが、そうでない限り、クルマ離れはまだまだ進むと予想します。我が国に限らず新興国でも、一定水準からは普及が頭打ちになるでしょう。

そしてこれは、もっと大きい「モノ離れ」というトレンドの一環でもあるのです。「モノ離れ」については、またいずれ。

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