人生100年時代? ちょっと先走りすぎでは

投稿者: | 2017-09-15

今週、政府が「人生100年時代構想会議」を発足させました。

人生100年時代構想 | 首相官邸ホームページ

メンバーにベストセラー「ライフ・シフト ~100年時代の人生戦略~」の著者であるリンダ・グラットン氏が加わっていることもあり、今後「人生100年」という話題を多く目にすることになりそうです。

100年という数字はキリが良いので使われている面もあるでしょう。ただ現実には、まだ人生の折り返し地点のずっと手前にいる若者・子供はさておき、50代以上のほとんどの人にとっては「100年生きることを前提にした人生設計」というのは必要でもないし意味もありません。

多くの人は、平均寿命の数字を見て漠然と「自分もだいたいこれくらい生きるのかな」と想定していることでしょう。健康への自信や親きょうだいの寿命をもとにそれを多少補正する程度で。ちなみに最新の平均寿命(0歳時の平均余命)は男性が80.98年、女性が87.14年です。

参考:平成28年簡易生命表の概況|厚生労働省

ただ年齢を重ねると年齢+平均余命の数字は当然延びます。高齢者入りする65歳で見ると男性は19.55年、女性は24.38年で、つまりこの年齢まで生きた人に限れば死亡時の平均年齢は男性84歳、女性89歳ということになります。こと女性に関しては「人生90年」が実現しているのは間違いありません。

寿命関連の統計では寿命中位数というのがあります。半数の人が生存すると期待される年数ということで、個人的には平均寿命よりもこちらの方が「自分はどれくらい生きられるか」を考える目安としてふさわしいと思っています。平成28年のそれは、男性83.98年、女性89.97年です。やはり女性は「人生90年」ですね。

ほかに健康寿命というのがあります。こちらは医療・介護に依存しないで自立して生活できる年数のことです。寿命のように生きているか死んでいるかというほどはっきりした節目ではありませんが、おおよそ男性で9年、女性で12年ほど平均寿命との乖離があるとされています。この期間社会生活が全くなくなるわけではありませんが、それまでとは生活上の課題や優先順位、それに金の出入りなんかもかなり違った局面になるのは確かでしょう。

ともあれ、キャッチーとはいえ「人生100年」の語が一人歩きするのはどうかと思います。議論の前提、想定される人生の長さの尺度として雑だし不正確なんですよ。

少なくとも我ら男性にとっては、人生100年なんて時代はそれこそ100年先にも来ないと思いますよ。寿命が延びようものなら自殺者もそれなりに増えて、いつまで経っても半数以上の人が100歳を迎える前に亡くなっていることでしょう。

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