今月9日は、「ベルリンの壁」崩壊から20年という節目の日です。
新聞などでも、ここ数日、特集記事を目にするようになりましたね。
同じ年の天安門事件もそうですが、1989年の「東欧革命」は、私の思想に深く影響しています。大げさじゃなく、生きている中で経験した最大の歴史的出来事だと思っています。何せ、ロシア革命から数えると70年以上続いた共産主義への期待や幻想が、最終的に潰えたわけですから。
当時思ったのは、もし自分の国・社会で自由を抑圧する体制ができそうになったら、命を懸けてでもそれを阻止しよう、ということ。自由で民主的な体制の下で暮らすという特権は、絶対に手放してはいけないな、と考えたのです。
旧東ドイツ地域やロシアなどでは、共産主義時代を懐かしむ声があると聞きます。確かに、自由な社会は同時にいろんな生きづらさをもたらしもします。でも、自由が許されない社会、自由を貫こうとしたら生命や人生が危機にさらされる体制は、私にはまっぴらゴメンです。我が国のすぐ近くにある例の「人民共和国」を見れば、それは明白じゃないでしょうか。
現在我が国では、静かなる自由侵害が起きようとしています。それはつまり、重税国家の実現を通じて、個人の経済的自由、ひいては思想・言論の自由が冒されようとしているということです。体制としては資本主義・自由主義は勝利したものの、それへの揺り戻しはいまだに絶えません。結局のところ、1989年の革命は、まだ完全な勝利を収めたとは言えないのです。