それが、私の持論であり、確信です。よく「グーテンベルク革命以来の大変化」みたいに言われますけど、正味のインパクトはそんなものでは済まないだろう、と。
読書する個々人にとって、電子化のメリットとして享受できそうなのは、以下のような点です。
- かさばらない
- 欲しい時にすぐ入手できる
- 「絶版」という概念がない
- 紙の本より安い
- 検索が容易
- 紙よりも「表現」の可能性の幅が広い
それとは別に、社会、文明にとっても電子化のもたらす影響があると思うのです。書籍の電子化といった時に、それはあまり話題になりませんね。でも上記を全部合わせたよりも、実はこちらの方が重要です。
それは、知のあり方やコミュニケーションのあり方が根底的に変わるだろう、ということです。実はそれはWebの登場によって既に始まっていた動きなのですが、「出版」という分野がWebとシームレスにつながることによって、いよいよ知の革命とでも呼ぶべき変化が起ころうとしているのだと思います。
具体的には、同時代・過去を問わずあらゆる知的資産へのアクセスがはるかに容易になり、その利活用が飛躍的に進み、さらなる知の再生産が加速するということ。そしてWebを通じて速やかにフィードバックを得られることで、質的向上や改良が速やかに進む、ということです。
産業革命によって、人類の物的生産性は飛躍的に向上しました。Web(とりわけTwitterなどのソーシャルメディア)+書籍の電子化は、同様の流れを知的生産性の分野にもたらそうとしているのです。そうした大きなトレンドが見えない人、あるいはそれを押しとどめようとする人は、あえていえば人類の進化の敵です。