没イチという奇妙な言葉

投稿者: | 2018-12-12

まだ「知る人ぞ知る」といった感じですが、没イチという言葉が時々メディアで使われるようになりました。

離婚を経験した人を「バツイチ」と言ったりしますが、それになぞらえて死別を経験した人のことをこう呼ぶようです。死別してその後別の誰かと再婚した場合には使わないと思うので、死別して独り身になった人、独り身でいる人のことを言うのでしょう。

バツイチもあまり感じの良い言葉ではありませんが、没イチはさらに気持ちの悪い言葉だな、というのが私の印象です。その軽い語感、ふざけた造語が、伴侶を喪ったという重い事実と釣り合わないような気がするからです。この辺は「終活」という言葉への嫌悪感とも通じるところがあります(終活という言葉をもてはやしている人たちが、えてして没イチという言葉を使っているような気もします)。

日本語には「やもめ」とか「男やもめ」という言葉が既にあります。あえて奇妙な造語をつくり、流行らせようとしなくてもいいんじゃないでしょうか。

あと一つ気になるのは、使っている人たちは意識しているかどうか分かりませんが、年齢差別の気配があるということです。没イチと呼ばれるのは、まだ若くてもしかしたら再婚するかもしれないような年齢層の人たちでしょう。年老いて再婚が望み薄、という人たちには使わないと思います。その辺も「いやらしさ」を醸し出す要因のような気もします。

ともあれ終活と同じく、自分からはこうした言葉は使わないようにしたいと思います。もちろん当人が半ば自虐的に「自分は没イチなんだ!」と名乗るのは構いません。でもその人のセンスを疑ってしまいますよね、やはり。

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