いろんな分野で、価格破壊が進行しています。製造や流通の過程で無駄があったり、業者が不当に過大な利益を得ていたのなら、それが正されるのはいいこと、とひとまずは言えるでしょう。
でも、消費者が低価格のみを追い求めたらどうなるか。
仮に供給者が何らかの志を持って、消費者に真に価値あるものを提供しようとしても、なかなか受け入れてもらえないかもしれません。そうしたことが続くと、仕事に対する士気が削がれていき、「売れさえすればいいんだ」というニヒリズムに陥ってしまうのではないでしょうか。
以前の「ミートホープ」事件で、社長が「安いものばかり求める消費者も悪い」といった風のことを言っていました。不正を働いた張本人には、そんなことを言う資格はありませんが、言っていることそのものは、一片の真実を含んでいると思います。
消費者の低価格志向と、どう折り合っていくのか。低価格志向に応えるべく、徹底的な安値の追求に走るのか、それとも、「安かろう、悪かろう」ということにならないようにお客様に真の価値を認めてもらえるようにそれとは違った努力をするのか(これは、自分たちが利益を上げるための方便であっては話になりませんが)。
すべての業種、すべての立場の人が問われることになりそうです。