【今週のお言葉】人の将に死なんとするや、其の言うこと善し。

投稿者: | 2006-01-07

全体は「鳥の将に死なんとするや、其の鳴くこと哀し。人の将に死なんとするや、其の言うこと善し。」という対句になっています。論語の泰伯編からの引用です。


「其の言うこと善し」の部分は、「その言や善し」「其の言うや善し」などと読み下されていることもあります。元の漢文を記しておきますと、

鳥之將死 其鳴也哀
人之將死 其言也善

となっています。

この言葉、二通りの受け取り方が可能だと思います。

まずは、人が死に際に言う言葉には、真実や良い教訓が含まれていることが多い、ということ。死を意識していますから邪念のようなものがなく、それだけ純粋に物事の本質に迫れる、ということでしょう。

そしてもうひとつ、死に行く人からの言葉は謹んで傾聴しなさいよ、という戒めとも考えられます。もちろん、そんなことを言われなくても、軽んじる人はあまりいないでしょうが。

前者についてさらに言えば、時として死に際の人には「奇跡」とも呼べるようなことが起こります。言われなくても死期を悟ったり、身内などの夢枕に立ったり(いわゆる虫の知らせ)、普段なら考えられないような自己犠牲をしたり、超人的な行動をしたり。あの世があるかどうかはわかりませんが、少なくともこの世から離れつつあることで、ある種の精神性が強まる傾向があるようです。

そしてこの原理は、死が間近でない人にとっても、活用できるはずです。つまり、自らの死を意識したり、死んでしまった人のことを想起することで、死に際になってたどり着くような精神的境地に近づく、と。

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