カネを増やせば、景気は良くなる!・・・わけないよ

投稿者: | 2010-10-25

ここのところ、私が注目している議論の一つが、いわゆるリフレをめぐるそれです。

正確には、リフレは無意味だとか、副作用があるから危険だといった、懐疑論・否定論の方なんですけどね。私がそちら側の意見だから、どうしても目に付いてしまうんです。もっとも私の場合は、専門的な知識に基づいた論理的な意見なんかじゃなく、多分に直感・カンのレベルなんですけどね。

で、最近拝見した次の二つは、とても分かりやすく、しかもかなり決定的にリフレ派を論破しているように見えます。自分のお勉強も兼ねて、ポイントを整理して書きとめておくことにします。

量的緩和によるリフレ政策 最も愚かな政策 : アゴラ – ライブドアブログ

新「量的緩和」を行えば、インフレは起こる。ただしそれは、期待されるような消費者物価上昇ではなく、資産インフレにとどまる、として次のように述べます。

資産インフレは、政策上は望ましくないと考えるのが普通だ。なぜなら、現状でも格差社会と言う批判があるにもかかわらず、ここで、給与が上がらず、資産価格、すなわち、不動産と株の価格が上昇すると、既に不動産と株式を所有している人々の冨が急増し、これから家を買いたいと思っている人は相対的に貧しくなり、少なくともマイホームを買うことは不可能になる。不動産や株式の保有については、分布が偏っており、一部の国民だけが極端に豊かになり、自宅を所有していない相対的に貧しい層が、さらに貧しくなるであろう。

一方、経済全体への影響はどうか。資産価格上昇により景気が良くなることを日銀への量的緩和を期待している人々は望んでいるようだが、株式市場関係者にとっては好都合だろうが、実体経済においては、不動産コストが高くなるだけでメリットはなく、景気は悪くなるであろう。なぜなら、資産インフレにおいても、日銀が名目金利をゼロ近傍に据え置くことによって、実質金利はマイナスになるであろうが、これによる投資資金は設備投資などに向うのではなく、金融商品へ向かうと思われるからである。なぜなら、資産インフレで実質所得が減少した一般の「持たざる(資産を)」消費者は、倹約に走り、消費は減退すると思われるからである。

持てる者を富ますだけで、持たざる者は今より苦しくなる、というわけです。もしそうなるとわかったなら、賛成する人はあまりいませんよね。反論のある人は、「そうはならない」ということをきちんと説明するべきでしょう。

そしてもう一つ、いわゆる「ヘリコプターマネー」について。

ヘリコプターマネーが、ナンセンスなのは実現不可能だからではない。そのもたらす経済効果がナンセンスであるのだ。あなたが明日、政府から1000万円もらったらどうするか。マネーの価値は目減りするからはやく使わなくては、とメディアで評論家が煽る。どうするか。

モノなんか買っている場合ではない。日本政府はこれでは破綻するか、日銀にマネーを刷らせて、現金の価値が下がるか、どちらかなら、あまりに不安定化する将来、不安な将来へ向けて、貯蓄して、自己防衛するであろう。少なくとも私はそうする。もちろん、貯蓄と言っても、現金換算では危ないから、リアルなものである。そう。古来より言われている資産三分割法の、現金、土地、株の、現金以外である。土地と株へ買いが殺到するであろう。ゴールドもシルバーも同様だ。今なら原油、ウラン、穀物の先物かもしれない。

前述した資産インフレが起きるだけなのだ。

ナンセンス、だそうです。

そして次は池尾和人氏の文。ポイントは、日銀が「マネーを刷る」にしてもそれは国会のマターなのだと、いうことです。

やさしい「財政ファイナンス」の話 : アゴラ – ライブドアブログ

そうした政策を中央銀行単独で実施することは不可能である。暗黙のうちにあうんの呼吸で行うとしても、財政当局との共同行動でしかあり得ない。この意味で、中央銀行だけに判断を求めることは間違いである。わが国は財政民主主義を前提としている以上、まずは政府と国会がしっかりとした判断を示すべきである。

「マネーを刷れ」といった話をしている人の多くは、(意識的であるか無意識的であるかは別にして)図2→4的な変化を求めているとみなせるが、それにかかわる権限の所在については誤解しているように思われる。マネーファイナンスを行う場合には、直接的な意味でマネーを刷るのは確かに日銀であるが、それはエージェント(代理人)として行うということであって、それを命じる権限があるのは国会である。

日銀をエージェントとして使うにしても、結局やることは、赤字国債を発行してバラまくのと変わらない。それでいいんですか?ということのようです。

ともあれ、(私から見れば)安易にリフレを提唱している方々には、反対論者の意見に真摯に耳を傾けてほしいものです。特にその「副作用」に関して。私は引き続き、リフレ論には反対の立場でいるつもりです。

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